09.06
Monday
2010

久々のPoserネタです。今月発売されたSQジャンプの10月号に興味をひいた記事がありました。最後のほうに掲載されているマンガゼミナール(マンゼミ)というコーナーです。ミケランジェロのダビデ像を例に、足の重心を左右に移動させた時に人体がどのような動きとなるかを判りやすく解説したものでした。DAZで入手できるDavidのポーズにダビデ像を模したポーズがありますので、それを使って効果を試してみました。


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修正したポーズのほうが、オリジナルのものより安定感が感じられ、足にしっかりと体重がのっているように思います。修正した主な箇所は(1)重心の位置(2)ショルダー・トラックとヒップ・トラックを特に意識的に変更してみました。

人間の体は重心をどちらの足にどの程度かけるかで変化します。まず、足を肩幅に開いてたって、両足に50%ずつ力をかけてたちます。これから左足に90%、右足に10%の割合でかけるとどうなるかでしょうか?鏡の前で実際にやってみるとよくわかるのですが、片方の足に体重をかける程、体重のかかっていない足が外に開きます。また、重心線の移動に伴って頭の位置が体重のかかった足に近づくという変化が起こります。


解説に基づいて再現したポーズ:クリックすると大きな画像が表示されます。

また、重心のかかった腰骨があがり、かかっていないほうが下がるという現象が起こります。左右の腰骨を結ぶ線をヒップ・トラック、左右の鎖骨を結ぶ線をショルダー・トラックというのですが、ヒップ・トラックが傾いた分だけ、ショルダー・トラックも傾き八の字型になってバランスをとります。

以下の画像は左が腰の位置を移動させただけのもの、右がトラックを意識してポーズを修正したものです。右のほうがより重心が足にかかっている感じがよくでているように思いました。どれだけ傾くかは記載されていなかったので、Poserでいろいろ試してみたのですが、傾きが大きくなるとかなり違和感が出てきます。以下の画像の場合は腰部(Z:6°)腹部(Z:-7°)、胸(Z:-6°)、首(Z:7°)としてトラックを表現しました。足の開きはIKをoffにした後、Right Buttockの軸回転20°とした後、IKをonにしてzの値を調整し右足が前に出るように調整ました。


トラックを意識してポーズ:クリックすると大きな画像が表示されます。

正面から見ると判りにくい微妙な調整なのですが、体重を片足にかけたポーズについて、トラックの調整だけでは違和感があったので、IKをonにして腰の位置をわずかに低くし、膝を軽く曲げているように調整しました。また、(2)腹部を前に傾け、これとは逆に胸は後ろに傾けるという調整を行っています。これは足に体重をかけると軽く膝をまげたほうが体重がしっかりと足にのせることができ、それに伴って腹部から胸が緩やかなカーブを描くようになることに気がついたからです。最初のダビデ像のポーズ修正も同じ動きとなるよう修正を行っています。


クリックすると大きな画像が表示されます。

SQジャンプの10月号にはムーブマンが併せて紹介されていました。日本語に訳すると動勢となるのですが、絵などから動きを感じさせるような表現のことだそうです。生物に限定されるものではなく、心理的な方法や、人間の生理的機能を利用することで、静止した平面に動きが感じられること指すそうです。簡単な図形でムーブマンの効果を説明したページを見つけましたので、併せて紹介しておきます。ちなみに、「ボディビルダーのためのポージングガイダンス」には、今回記載したダビデ像を元にした身体理論が詳しく紹介されているそうです。ネットで検索してみたのですが、Amazonでも取り扱っておらず、出版元のサイトでしか入手はできないようです。一度中身をみてみたいなと思いました。

今日のつぶやき
この記事の欄外にも記載されていたのですが、対称形のポーズというのは躍動感を感じにくいそうです。ほぼ対称形のポーズで存在感を感じさせる興福寺の阿修羅像は高度な表現がなされているという件には思わず納得してしまいました。

最後になりましたが、スパムコメントが増えていますので、暫く承認したもののみコメント表示がなれるという設定に変更して様子をみることにしました。ご了承ください。暑さのせいだと思うのですが、インターネットに接続するモジュールがやられてしまいました。今は回復しているのですが、皆さんもご自愛ください。


Comments

はじめまして。
ご紹介、ありがとうございます。
該当コーナーの原作と構成を担当した者です。

あくまでも投稿者を対象にしたコーナーですので、基本的な部分を大掴みに伝えることを第一義にしておりますので、上級者向けのテクニックは割愛しているのですが、こちらの意図を深いところまでご理解・応用いただき、ありがとうございます。

膝を曲げると体重が上手く乗る感じがしたという点については、たぶん第2回の内容が多少参考になるかと思います。詳しくは来月号を楽しみにしていただくとして、ヒントだけいいますと、今回は左右の重心バランスでしたが、次回は前後の重心バランスについての内容を含みます。

『ボディビルダーのためのポージングガイダンス』は名著ですので、ぜひともご一読いただければ、今後のCG制作に大きな助けとなると思います。

  • 喜多野土竜@2010/09/07 6:54 AM

こんにちは、はじめまして。原作を担当された方からコメントがつくとは思ってもいませんでした。

私は漫画製作ではなく、CGイラスト製作が主なのですが、ポーズについて理論的に解説されたものを見たことがないので、とても参考になりました。記事をよんだ後、ネットでも検索してみたのですが、詳しく解説してあるサイトは見つかりませんでした。

記事にも記載したのですが、Poserで試してみると、傾きの角度は大きくないのですが、効果は大きいなと感じました。次回は前後の重心バランスの解説なんですね。楽しみにしています。コメントありがとう御座いました。



  • 銀狐(Ras)@2010/09/07 8:50 PM

いや実にいろんな情報源を見つけられるのですね、まずそこに驚いてしまいました(^^!

立つというとじっとしてるだけと言う印象なのですが、立ち続ける為にこのような微妙な動きをしているのかと思うと、体操選手の決めのポーズのように美しいものであるなと思いました。

私も其の本見てみようと思います。
プロの漫画家というのは、そういう事を踏まえて描ける画力がないと勤まらないのでしょうね。

それにしてもDAZのフィギュアよく出来ているのですね。
考えようによってはとても安いのかも・・・と言うか確か今フリーだし。

ムーブマンもとても興味があります。
ShadeやVueで背景を作るとき面白い効果を作り出せそうですよね。

  • sannzi@2010/09/07 11:38 PM

こんばんは、Sannziさん。

>いや実にいろんな情報源を見つけられるのですね。
作品製作の参考になるかなといろいろな分野の雑誌を読んだりしています。インターネットがあるお陰で回数は減りましたが、以前は本屋で1-2時間は平気で過ごしたりしていました。ちなみに、SQジャンプはクレイモアという漫画が好きで購入し、このコーナーを見つけました。

>立つというとじっとしてるだけと…
重心がずれるので、楽な姿勢をとるためにこのようなポーズになるのだろうと思うのですが、修正したポーズは存在感が違うように思いました。こういうことが「リアリティ」に繋がっていくのでしょうね。

>プロの漫画家というのは…
漫画やイラスト製作のハウツウはVueやPoser等の3Dソフト支援がない状態で製作をすることになるので、参考になる情報が得られることがあります。例えば、影の部分はベースとなる色の明るさを落とすだけでなく青色にシフトさせるとより現実感がでるそうです。Vueで環境光の色が青色が多いのも、これと関係しているのだろうなと考えています。

>ムーブマンもとても興味があります。
自分の伝えたいものを見ている人に的確に伝えるのに必要な技法なんだろうなと考えています。上手く作品に活用できればよいななどと考えています。

  • 銀狐(Ras)@2010/09/09 1:18 AM









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