06.24
Sunday
2007

Vue6で初めての作品が完成しました。今回はフォトリアルを目指してみました。ちなみに、果物はすべてVueの関数を用いて処理しています。Vueと言えば景観ソフトなのですが、いろいろと理由があって、ソフトの使い方の習得を兼ねて今回は静物画に挑戦してみました。Vue6になって、インターフェイスがVue5とはかなり変わっており、例えばオブジェクトを動かすのにギズモが標準装備されているのですが、慣れていないこともあり結構戸惑いました(実はまだ慣れていません)。また、質感において下層質感がなくなり半透明のタグが追加されたのですが、半透明のオブジェクトのライティングは結構曲者だなというのが実感です。この作品の製作に関する詳細は、来週以降に記載することにして、この作品を製作してみようと考えた経緯などを今回は記載したいと思います。


(Modeled by Dan Wade)

この作品を見てどこかで見たような作品だなと思う方がおられるかもしれません。これは「LIGHTING & RENDERING 第2版」の表紙を飾っているのと同じオブジェクトを用いて製作したものです。偶然書店で見かけて立ち読みしてみたのですが、自分が知らなかったことが沢山記載されており、定価7000円(税抜き)と結構高かったのですが、思わず買ってしまいました。

3D製作に携わるプロの方が著者であり、モデリングに関することは一切記載されていないのですが、ライティングや構図の改善に関する手法が丁寧に紹介されています。例えば、影の重要性は多くの方が認識されているかと思います。影で位置関係を表現したり、光源によってどのようなシーンであるかを表現する手法は、他のハウツウ本でも紹介されているのですが、影を効果的に用いることで構図も改善できることがこの本では紹介されています。背景に設置した単調な壁を影で斜めに分断して変化をつけるという簡単な手法で構図が改善できるというのは結構驚きでした。他にも私が以前ブログに記載した焦点距離の話や、かぶきさんがブログで紹介されていたライトが当たっている部分を暗くする闇ライトなどのテクニックも紹介されています。

ここまではBookレビューなのですが、この本には書籍と連携しているWebサイト 3dRender.comが紹介されています。このサイトにはこの本の内容の紹介(本の紹介は英語ですが、日本で販売されている書籍は日本語に翻訳されています)と共に、「lighting Challenges」というコーナーがあり、応用問題として使用できるオブジェクトを無料でダウンロードすることが可能です。ダウンロードしたオブジェクトは再配布禁止ですが、レンダリングした画像はWebページで公開することが可能となっています。詳細は「lighting Challenges」のcopyrightを確認して下さい。

静物画程度であれば、できるかなと思って試しにダウンロードして製作してみることにしました。しかし、ダウンロードされたものには、一切テクスチャが貼り付けられていませんでした。灰色の果物の画像を見ながら、しばし呆然……。出来上がったオブジェクトに貼り付けられたテクスチャを使用することに慣れきっている自分に気が付きました。折角の機会なので、質感の表現に優れたVueを用いてチャレンジしてみることにしました。ぶどうなど半透明の質感を持つものがいくつかあり、早速Vue6の新機能を使うことになりました。以下製作の詳細は、次回以降にて……。


06.16
Saturday
2007

mizaさんよりダイナミッククロスに関するコメントを貰ったので、もう少し詳しい話を記載したいと思います。ちなみに私の認識なので、間違っている場合もあるかと思いますので、ご了承ください。ダイナミッククロスには布ドレーピングを利用する方法としない方法があるかと思います。

布ドレーピングを利用する方法
私が最初に覚えた方法です。ちなみに、情報源は「Poser for Super Beginners」でした。大まかな流れは以下の通りです。
1:フィギュアとダイナミッククロスを呼び出す。
2:クロスを選択し、フィギュアの一部などにペアレント設定
3:フィギュアにポーズをつける。
4:1.クロスシュミレーションの設定
シミュレーション設定を以下のように設定する(一例です)。布ドレーピングには必ず数値を入力します。

5:2.クロスの布化
クロスが選択されていることを確認し、クロスを布化する。
6:2.クロスの布化衝突対象の設定
フィギュア、椅子などの衝突対象を以下のように設定する(一例です)。ポーズなしからのドレーピングの開始には必ずチェックを入れる。

7:シミュレーションを実施

この方法は、ダイナミッククロスの最も簡単な設定方法です。上記の方法はダイナミッククロスの一般的な設定方法ですが、下の画像はコンフォームクロスのスカート部分(腰部)のみを布化してシミュレーションを行ったものです。今回のポーズでも椅子がない状態では問題なくクロスを適用することができました。



しかし、実際に椅子に座らせようとすると、この方法ではクロスを上手く適用できませんでした。ドレーピングはポーズなしの状態からシミュレーションするのですが、このポーズなしの状態(連結パラメータ編集のゼロフィギュアを適用した状態)では、フィギュアが前傾姿勢となってクロスが椅子を突き抜けてしまい、ドレーピングの計算途中でも常にクロスが椅子を突きつけたままであるため、上手くクロスが適用できないままシミュレーションが終了することになってしまいます。

ポーズなしの状態が以下のようなゼロポーズに近い状態になり椅子と接触しなければ、この方法でもクロスを上手く適応することができるかと思います。ポーズなしの状態が、このようなポーズにならないのはフィギュア各パーツに回転などの値が設定されており、それがポーズなしの状態でも元に戻らないことが原因です。ポーズなしの状態から、フィギュアのパラメータを記憶させない状態で復元を行うとゼロポーズに戻すことが可能です。



ちなみに先週の私のコメントは、こちらの方法のことを頭に思い描いてコメントしています。

アニメーションコントロールを使用する方法
恐らくmizaさんはこちらの方法のことを言っているのだと思います。布ドレーピングを利用せずにアニメーションを利用してクロスを適用します。私はこの方法を最近まで知りませんでした。この方法を使えば、椅子に座わるという複雑なポーズでもクロスを適用することが可能です。ただ、場合によってはかなり設定が面倒になります。

1-3:上記の方法と同じ。
4:1.クロスシュミレーションの設定
シミュレーション設定を以下のように設定する(一例です)。

5:2.クロスの布化
クロスが選択されていることを確認し、クロスを布化する。
6:2.クロスの布化衝突対象の設定
フィギュア、椅子などの衝突対象を設定する(一例です)。

7:各フレームを設定し、シミュレーションを行う。
ゼロポーズ、衝突対象と触れていない状態を1フレーム、最終的なポーズ(今回は椅子に座るというポーズ)を最終フレームに設定する。

今回上手くクロスが適用できた時の設定は以下の通りです。最後の10フレーム同じポーズをキープさせるのは、裾などの細部を丁寧に計算してほしいと考えての設定です。私は通常、最終フレームから遡って設定をしていきます。ポーズドットにポーズを記憶させておくと、比較的設定がしやすいかと思います。ちなみに、すべてのフレームを設定しなくとも、主なフレームを設定することでその間のフレームはPoserが自動で設定してくれます。必ずしも思い通りになるとは限らないのが、ネックですが……。

40〜30フレーム
 椅子にすわるポーズ(最終)
30〜20フレーム
 20フレームでフィギュア本体のYとZの位置を少しずつに大きくして椅子から浮いた状態にする。10フレームかけてフィギュアがゆっくりと下降していくように設定。
1フレーム
 ゼロポーズ、衝突対象と触れていない状態(上図の状態)
10フレーム
 10フレーム目、足を地面に接するように修正。1〜10フレームで体や足を捻じり、10〜20フレームで足のポーズを作るという設定にしました。


(10フレーム目)

この方法であれば、椅子を突き破ることなくクロスをフィギュアに適用することができました。ただ、スカートの大きさを100%とすると裾が床に垂れるので、スカートの大きさを少し小さくし、スカートを少し広げてからフィギュアに適用しました。100%であれば問題なく適用できたのですが、この修正でお腹や右足がクロスからはみ出してしまったので、ダイナミックのパラメータを1.05、付属していたモーフの値を少し弄ってはみ出しがないように修正したのが以下の画像です。


(上記設定でクロスを適用、細部はパラメータを弄って修正しています)

この方法を最初に採用しなかった理由なのですが、最初はフレーム数60で最終と最初のフレームのみ設定してみました。その結果、途中で足が180度以上捩れるという現象が起こってしまったので、この方法はそれ以上検討していませんでした。

コメントを貰った後、もう少し検討してみたのですが、足の捩れはフレーム数を減らすことで解消できることが判りました。なお、このポーズは上記のように、ある程度細かくポーズを設定しないと、フィギュアが大きく後ろに仰け反って椅子と衝突するという現象が起こります。フィギュア自体を椅子から大きく離してクロスを適用させて、元に戻すという方法もためしてみたのですが、フィギュアを大きく動かすと、それまで設定したフレームにまで影響が及ぶことがあったりして今回の場合は設定がかなり面倒でした。ちなみに上記の2つの方法を組み合わせてクロスを適用させるという方法も勿論可能です。

意識はしていなかったのですが、ダイナミッククロスの設定としてはかなり面倒なポーズだということが試してみてよく判りました。布ドレーピングを利用する方法は特にそうなのですが、ポーズなしの状態で衝突対象と触れていないことを事前に確認しておいたほうがよいかと思います。


06.10
Sunday
2007

PoserでレンダリングしたCGを写真加工の方法でポスター風に加工してみました。100Mb以下の画像しかアップロードできないので画像が小さいのですが、本家サイトGallaryに大きなものをUPしましたので、興味のある方はそちらを確認して下さい。



Poserでのレンダリング
このような画像は衣服の皴の美しさが必要だと思うのですが、Poserでそれを表現するのは結構大変だなと思いました。スカート部分にのみダイナミッククロスを適用する方法なども試してみたのですが、足を内側にまげるというポーズがいけないのか上手く適用は出来ませんでした。最終的にはモーフを弄ってフィギュアに適用した後、ウェーブでスカート部分の皴を作ってみました。衣服の美しい皴の作り方って、他に何かよい方法がないものでしょうか……

画像の加工
Poserでレンダリングした後、写真加工でポスター風に仕上げたのですが、詳細な製作方法を記載するのは大変だということが、朝霧の製作を紹介した時に判ったので、大まかな流れだけを紹介させて頂きます。適用した方法は大まかに2つで(1)輪郭抽出(2)画像をポスター風に変換するという方法です。画像をポスター風に変換する方法は、全体的に柔らかい感じに仕上げたかったので(1)Poserでレンダリングした元画像をコピーして白い粒状を適用してぼかす(2)元画像に処理した画像をスクリーンでブレンドするという方法を用いています。

輪郭抽出については、Poserの機能では透明な袖の部分にも線が惹かれてしまうため、今回はPaintshop Pro パーソナル(PSP)を使用しました。同じ機能がGIMP 2やPhotoshop Elements 5.0(PSE)にも付属しているのですが、結構感じが異なります。輪郭検出の処理方法のバリエーションはGIMP 2が最も充実しているようです。下に掲載したものはGIMP 2のラプラスという処理方法です。


(上左から順に、原画、PSP、PSE、GIMPで輪郭検出を適用した画像)

線が細く全体が細かく描かれているPSPを用いて輪郭検出を行い、2階調化で主な線を残すという方法を今回は採用しました。輪郭検出したレイヤーをポスター風に変換したレイヤーにオーバーレイと比較(暗)でブレンドして仕上げたのが今回の作品です。

コメント
題は「四季〜春〜」としました。各季節をイメージした作品と合わせて連作としてみたいなと漠然と考えてはいるのですが、次の作品の製作については全くの未定です。今回の作品はPoser7を使用したのですが、なぜか保存の途中ではハングアップするということが何度か起きて、結構製作が大変でした。Vue6が今週やっと入手できたので、暫くは新しい機能を試してみたいなと考えています。