09.30
Sunday
2007

前回「狼戦士の製作」で紹介したフィギュアを使った「旅立ちの日」の製作について記載したいと思います。この作品はForum 3Dのお題でレンダ■冒険に出かけよう!にあわせて製作しました。本家サイトに手を入れたいと考えていたこともあって公開はしていなかったのですが、丁度狼戦士を製作した直後ということもあって、これを使用することにしました。構図については現在アニマックスで放映されている「ベルセルク」の影響があるように思います。

実はこの作品は「旅立ちの朝」とする予定でした。Vueを用いて雲海から覗く朝日を背景とする予定だったのですが、この構図でその背景とすると逆光になってしまいます。メインライト(太陽光)の位置を見直した結果、ゴッドレイを使用している大気を最終的に使用することにしました。その様な理由もあって、Vue6から追加された機能であるゴッドレイとメタクラウドを使用して製作した初めてのCGとなりました。


「旅立ちの日:修正前」

(1)フィギュアの設定(Poser)
狼戦士については、前回の記事を参照してください。フィギュアに小物を持たせ、マントを身につけてポーズをつけました。マントは「Wildenlander for M3」に付属していたものを使用し、微調整はマグネットを使用しました。

(2)シーンの設定(Vue)
この作品はこんなCGにしたいというものがはっきりしていたので、シーンの設定は比較的楽でした。眼下を見下ろすという構図としたかったので、「Shroom Castle」に付属していた地形を使用し、フィギュアをこの上に配置しました。テクスチャはVueに持ち込んだ後、岩と植物の質感をベースにしたものに変更しています。また、Ecosysytemを用いて、乾いた大地に生える雑草をまばらに配置しました。カメラに近い部分に立体感がないのが気になったので、岩と植物の質感にはディスプレースメントマッピングを使用しています。ディスプレースメントマッピングは、適用量に応じてレンダリング時間が延びる傾向があるのですが、0.2程度であれば適度な立体感が出て、レンダリング時間にはさほど影響がしないように思います。


(崖に適用した質感)

遠くに山を配置し、眼下にはメタクラウドを用いて雲海を表現してみました。雲海の中には「Fairytale Collection Fantasy Castle」を配して、城がよく判るよう雲海の濃さを調節しました。また、遠くの山に「Millennium Dragon 2.0」を配して、これから何が起こるのだろうといろいろと想像できるような場面を目指してみました。


(シーン設定後のプレビューレンダ)

(3)ライティング(大気)の見直し(Vue)
上にも記載したのですが、最初は朝の風景とする予定でした。しかし、逆光のためすべてが闇に沈み込んでいるようで朝という感じがしません。このため、大気をいろいろ読み込んで、メインライトの位置を変更して全体的な雰囲気を見直すことにしました。最終的に採用することにしたのが、アニメーションゴッドレイというゴッドレイを使用している大気でした。一度公開した後、配置などを一部見直して、再度修正しました。なお、ポストワークで狼戦士の毛の質感を修正しています。



(4)コメント
完成したものを見てみると想像していた以上のスケール感が出たように思います。フィギュアの雰囲気もあって、お気に入りの作品となりました。


09.24
Monday
2007

Forum3Dのお題でレンダ■演奏会に投稿しようと製作していたCGが佳境だったのと、所用で出かけていたのでいつも土日に記載していたBlogがすっかり遅くなってしまいました。ちなみに、製作したCGは「水の竪琴」をイメージしたもので、以前製作した「竜笛」と同様にレイヤーのブレンド効果を用いて、音のイメージをイラストの一部に加えてみました−とかっこよく言ってみたいのですが、実情はいろいろと試行錯誤してやっと完成しました。Photoshopテクニック集を見てみると、完成形をしっかりとイメージすることが大事だそうですが、イメージ通りに完成できるなんて私にとっては神の領域です。話が横道に逸れてしまいましたが、これを書き終えたら投稿してこうようと考えています。

さて、今回は狼戦士(獣人)の製作について記載したいと思います。私は獣人が好きで、前々から製作してみたいなと考えていました。今年になってからFantasy色の強い作品をほとんど制作していないということもあって、作品の製作に併せて情報を集めていました。獣人というと狼男が有名で、Content ParadiseではG2キャラのライカンスロープなどが販売されています。けれど、私がイメージするのは鎧を身につけさせたいということもあって、頭だけが獣というタイプです。鎧が入手しやすいのはM3なのでM3の獣人キャラも探してみたのですが、イメージに近い精度のよいものが見つからないのでMillenium Dogを用いて製作してみることにしました。


(全身像)


(上半身アップ)

上記はこの獣人キャラを用いて最初に製作したCGです。とぼけた表情の中にも力強さがあって、結構お気に入りのキャラになりました。製作したCGを見ていると、狗頭であるコボルトを思い浮かべるのは当たり前なのですが、リアリティのある「のらくろ」ってこんな感じなのかななどとしょうもないことを考えたりしていました。ちなみに口が長い分思っていないところに影ができたりして、ライティングには一工夫必要だなという感想を持ちました。

さて、製作方法です。製作と言っても、それほど難しいものではなくて、
(1)Millenium Dogに狼のモーフとテクスチャを適用
(2)Millenium Dogの頭と首の部分を小道具として書き出す
(3)M3に被せて位置を調整した後、オブジェクト→ペアレント設定する
という至極簡単なものです。首まわりと人物との繋ぎは鎧を身につけると見えなくなってしまうので、今回は省略することにしました。

wolfheadはM3にあうように首周りは小さくしてあります。また、目の位置調節やテクスチャがはりつけやすいという理由から、目はM3のものを使用することにしました。また、M3の頭の一部がはみでるので、透明の質感を適用して処理しています。身につけた鎧は、Notthar Armor(腕当てと腰当て)Wildenlander for M3(ブーツ)High Elves Warriors of the Forest for M3(鎧下半身)Hoplite for M3 Expansion Pack(鎧上半身)を持ちいてテクスチャの色あわせで統一感を出してみました。逞しさが欲しかったので、M3にはRogues for M3のモーフとテクスチャを適用しています。「旅立ちの日」はこのフィギュアを用いて、製作しました。


(旅立ちの日)

お気に入りのものができたのですが、この方法ではモーフがないので口をあけたり、表情をつけたりすることが出来ません。8月の暑い日にこの製作をしていたこともあって、モーフが適用できたら口を開けて、暑くてバテテている姿を製作してみたいと考えていました。モーフの移植はできなかったのですが、モーフを残したままペアレント設定して製作したwolfheadを用いて製作したのが「Dogday〜暑いです…」。


(Dogday〜暑いです…)

こちらの製作方法は以下の通りです。
(1)Millenium Dogに狼のモーフとテクスチャを適用
(2)セットアップルームに移動し、グルーピングを開く
(3)頭と首以外の部分をグループ削除する。
(4)ポーズルームに戻って、グループから削除した部分を消去する。
(5)M3に被せて位置を調整した後、フィギュア→ペアレント設定する
これと同様な方法でモーフを残したままで尻尾も製作しました。上記の方法で製作したものにも欠点があって、M3専用のポーズなら大丈夫なのですが、ユニバーサルポーズを適用するとフィギュアの形状が崩れてしまいます。

今回は暑がっているシーンを製作したいと考えていたので、上半身は裸にする予定でした。このため、wolfheadとM3の繋ぎにも工夫が必要となりました。ペアレントで別々のフィギュアを連結させているということもあって、ポーズを適用するとつなぎ目の処理に工夫が必要なこともあって、M3 Fantasy Collar Setに狼の毛並みを移植したテクスチャを製作して適用することにしました。ちなみに、顔の横の毛並みはポストワークで処理しています。狼や狐などの獣は口にかかる毛並みを描くと結構リアリティが増すように思います。モデリングソフトが扱えるようになったら、ヘアを適用してリアリティを上げてみたいなと考えています。



Forum 3Dの記事でCR2ファイルはテキストファイルと大差ないという書き込みがあったので、試しに上で製作した小道具状態のwolfheadにM3のボーンを適用した後、Millenium DogのモーフをCR2Builderを用いて移植してみました。CR2ファイルを開くと判るのですが、ボーンの下にモーフデータが記載されるというファイル構造となっているので、ボーンを削除するとモーフも消去されてしまうようです。モーフの移植はでき、Poser上でダイヤルの表示はされたのですが、上手く動作しないのでMillenium Dogに狼のモーフとテクスチャを適用したpmdファイルを上書きしてみたり、スクリプトのCopy Morphdataなどを適用してみたのですが、ボーン構造が違うと上手く動作しないみたいです。

取り合えず狼戦士を用いて3作品製作したのですが、夏バテしている姿で終わるのでも何なので、せめてあと1作品は製作してみたいと考えています。吼えている姿をかっこよく製作できればよいのですが、表情つくりとそれがよく判るような構図となると難易度は高めかなと考えています。


09.16
Sunday
2007

今回は8月中旬にGallaryで公開した作品の製作日誌2回目です。Vueに取り込んだ後の設定を紹介させて頂きます。この作品は室内から外のビル群を眺めているというもので、室内と建物(風景)のライティングを試してみたくて、製作してみました。徹夜で仕事を仕上げて、シャワーを浴びて出てくると、外は朝焼けが広がっていたというような場面を想定しています。


(完成したCG)

(3)シーンの設定(Vue)
室内のシーンにはできるだけ多くの窓があるものを使用したかったので、PoserWorldで入手できるTalk Showを使用することにしました。背景に使用しているDystopiaはVue6に付属しているものを使用しています。

大気はリード&ゴールド(スペクトル大気)なのですが、この大気はサンセット(夕方の景色)のため、太陽の位置を人物の前方に持ってくることで朝の風景に見えるように工夫してみました。太陽光を逆光の位置に配してしまったこともあって、空全体が白くならない範囲で建物の質感ができるだけ判るように霧と霞の濃度を調節しています。

空の右端の灰色の雲にノイズが発生しているのですが、この大気にゴッドレイが適用されていることが原因のようです。ゴッドレイの効果を用いない場合は、不用意にゴッドレイにチェックをいれないほうがよいようです。修正を試みたのですが、空の感じがこのCGのように綺麗なグラデーションとならないため、今回は諦めることにしました。

(4)ライティングと人物の質感調整(Vue)
(A)室外(太陽光とスカイライト)

(太陽光とスカイライト)

室外のライティングでは、太陽光以外にスカイライトを配置しています。スカイライトは太陽光で出来たコントラストを弱める効果があります。スカイライトは太陽光の位置から90度、明るさは太陽光の50%が基本なのですが、太陽光を逆光の位置に配してしまったこともあって、明るさは太陽光と同じとしてみました。ちなみに建物の周辺が明るくなっているのですが、これがスカイライトの効果です。


(左:スカイライトあり 右:スカイライトなし)

(B)室内

(室内のライティング)

室内は複数のスポットライトを配して、その強度を太陽光(スカイライト)から外れるものほど強度を弱くするという調整を行っています。後からもう少し簡単なライティングができないかと思って、簡単なモデルで検討したところ、閉塞環境を用いると効果があることが判りました(詳細は「閉塞環境の利用方法」参照)。大気モデルがGRであったため、閉塞環境を用いて修正を試みたのですが、空の感じがこのCGのように綺麗なグラデーションとならないため、今回は諦めることにしました。人物はライティングを施した後、SkinVueを適用しています。

(5)コメント
Vueでは朝や夕方の風景がとても綺麗に製作できます。朝や夕方の風景では、太陽光をシーンの一部に配置したほうが風景としては綺麗なものが製作できるのですが、これをやってしまうと大抵の場合は逆光になります。逆光に配したオブジェクトは、表面に影ができ、その質感が判りにくくなります。

この作品でもそうなのですが、室外のビルは陰に溶け込んだようになっています。ライティングで質感が判るようにすることはできるのですが、それをやってしまうと大抵は違和感のある作品になってしまいます。

実はこれ以外にも逆光の作品をいくつか制作してしまい、最近そのことにやっと気が付きました。写真撮影の時には逆光でシルエットを効果的に使う場合を除いて、逆光とならないように工夫するものなのですが、CG製作では逆光の誘惑には抗い難いものがあるようです。