12.26
Wednesday
2007

本日は、植生エディタを紹介したいと思います。私はVue5からのユーザーなのですが、最初購入したのはEspritでした。いくつか用意されているプラグインを順に購入していったのですが、最初に購入したのが、植生エディタを使用できるBotanicaでした。Vueのホームページの紹介を見た印象では、これを購入すると幼木から老木までが製作できると思っていたのですが、実際に使ってみると、それ程の効果はないように思われました。

標準で付属しているカエデなどの木は幹と枝の調整は別々に出来ないので、そのような印象を持ったのですが、Vueコンテンツを扱っているCornucopiaでは幹と枝などを別々に調整できる木々が販売されており、それらを購入すると植生エディタを使ってちょっとしたことが出来るようになります。本日は幹と枝などを別々に調整できる木々と植生エディタを使った小技を紹介したいと思います。ちなみに、Old Autumn Broadleafを除いて、これらの木は幹と枝だけでなく、葉の質感も2つ別々に設定することが可能です(Old Autumn Broadleafは幹と枝が4箇所、葉の質感は1つ)。


(左から順にOld Autumn Broadleaf、Autumn White Birch、Broad Leaf Straight Trunk、Bulky Conifer)

(1)竹の製作
日本の風景を製作していると、竹が欲しくなることがあります。Cornucopiaでは竹が売られているのですが、竹林を製作するのには、あまり向いてはいないように思いました。


Bamboo set 01:竹……らしい)

そこで、上記竹の質感をBulky Coniferに適用して、竹を製作してみました。呼び出した植生によって感じは多少変わるかと思うのですが、設定は以下の通りです。


幹/枝の調整
Tunk:衰え-80、節+5、太さ+20、その他0
Branches:長さ-30、衰え+27、節+7、太さ+2、垂れ下がり-39、角度-15
全サブセット:長さ+60、衰え+15、節+12、太さ-10、その他0
葉/花弁の調整
長さ:+30、幅+12、乱数度+22、しなやかさ+22、カール+52
長さ:+32、幅+19、乱数度+7、しなやかさ+22、カール+51
全サブセット:すべて0
質感(Bamboo set 01)
葉:Bamboo01 幹/枝:Bamboo06

なお、すべての植生ではないのですが、マテリアルで用いている画像を直接拾うことが出来るものがあります。VueがインストールされているフォルダのApplication>Temp(私の場合はe-on software>Vue 6 infinite>Application>Temp Tempの後ろに数字が入っている場合もあり)を開いてみてください。画像が拾えるものは、そこに画像が格納されています。それ以外の方法としては、カメラを空に向けて、平面に質感を貼り付けることで画像を取り出すことが出来ます。


(順にBamboo01、Bamboo06、Bamboo06の透明度アルファ画像の一部)

なお、例えば2本の植生を半回転させて組み合わせ、枝が複雑に四方に伸びる木を製作するという方法や2本の木を高さを変えて組み合わせて1本の木を製作するというのも存在感のある大木を製作する場合には、有効な方法ではないかと思います。

(2)葉の茂り方を変化させる。
次に植生エディタ葉の茂り方を変化させる方法です。例えば、高さ20mのカエデの木を植生エディタの長さで全体を大きくした後、拡大縮小で全体の大きさを20mに戻すと葉の茂り方がまばらになります。また逆に植生エディタの長さで小さくした後、拡大縮小で全体の大きさを20mに戻すと葉の茂り方が密になります。例では幹や枝の太さを太くしているのですが、葉の茂り方を疎にすると幹が細くなり、逆に葉の茂り方を密にすると幹が太くなります。例えば複数の木を組み合わせて、一本の木を製作する時に、大木の枝を製作する時や、背を低くして茂みを製作した時に葉の茂り方を調節したい時にも応用できるのではないかと思います。


(葉の茂り方を疎にした例)

(3)コメント
簡単ですが、私が行っている植生エディタの利用方法を紹介させて貰いました。Vueには標準でいくつかの植生が付属しているのですが、使い勝手のよいものは結構少なくて、何気ない風景を製作する場合でもいろいろと工夫が必要なようです。Cornucopia3dでもっと一般的な植生のサポートが充実すればよいなと考えているのは、私だけなのでしょうか……

正月は田舎に帰省することもあって、今年はこれが最後の製作日誌になるかと思います。次回は正月明けの1月6日前後になるかと思います。それでは皆さん、良いお年を!


12.25
Tuesday
2007

連休後半から旅行に出かけていました。昨日、帰宅したのですが、Renderosity投稿用の作品の仕上げをしていたこともあって、更新が遅くなりました。この作品は最初クリスマスイルミネーションを題材に選択し、製作を始めたのですが、最終的にこのような作品となりました。どうにかクリスマス最終日に公開することが出来ました。


(「Merry Christmas for you」)

机の上に配したクリスマスツリーをシーンの主題にしようとしたのですが、大きくすると光る部分が幹の中央部分に集まってしまい、質感を調整していたのですが、上手くいきませんでした。イメージが固まっていない内に製作を始めてしまったこともあって、ボツとなったシーンがいくつも出来てしまいました。

窓の外に見えるイルミネーションと机の上のクリスマスツリーは発光体の質感を用いています。ルームライトは電球部分に点光源を仕込み、蝋燭の炎はエリア光源を採用し、光源と発光体の質感を組み合わせて製作しています。先週、発光体の質感のことを紹介したのですが、実際の光源がないと発光体の質感だけでは上手く光りません。発光体の質感をライトとして使用する場合には、明るさの調整はそれなりの工夫が必要です。Forum3Dのお題でレンダ■クリスマスにも投稿用の作品を考えていたのですが、こちらに手間取って結局製作できませんでした。

その代わりと言ってはなんですが、Forum3Dで開催されている「時代劇祭」に新たに製作したCGを投稿してきました。炎のシーンを一度製作してみたいと思っていたこともあって、「八百屋お七」を題材に選びました。雪の降る中、夜空を赤く染める火事場で火の見櫓に駆け上がったという記述があったので、以下のような作品となりました。


(「八百屋お七」)

フィギュアは一度顔を弄った後、ほったらかしにしていたMiki2を使用しました。着物はDCを用いてフィッティングさせています。炎のシーンを製作するため、Vueにフィギュアを持ち込んだのですが、Poserファイルのままでは、なぜかMiki2を上手く取り込むことができませんでした。このため、Objファイルとして一度書き出してからVueに取り込むという方法を用いました。製作に際してインターネットでいろいろと調べたこともあって、イメージがはっきりしていたので、こちらは数日で完成させることが出来ました。

冒頭で旅行に出かけていたと書いたのですが、旅に出かけると、製作してみたいなと思うシーンに出会います。一つは昼食に立ち寄ったサービスエリアででした。冬なのに暖かかったこともあって、外で白色と灰色の子猫が元気に走り回りながらじゃれていました。とても可愛くて、この猫を構っている観光客を何人もみかけました。

もう一つは「銀河鉄道の夜」です。こちらはプラネタリウムで上映されているデジタルアート作品です。機関車などモデリングが出来ないと難しいと思うのですが、Vueで製作したら綺麗なシーンができるかもしれないなと思いながら見ていました。

恐らく、これが今年最後の作品紹介になるだろうと思います。師走の忙しい時期なのですが、そんなこんなで年賀状がまだ製作できていません。早くせねば……


12.16
Sunday
2007

今週から数週間に渡ってVue小ネタ集と題して、Vueの設定や機能について紹介したいと思います。ただ、設定についてはあくまでも我流ですし、例えば植生の設定は大気によって細かい変更をする必要があります。ちなみに、私が使用しているにはVue6 Infiniteです。Vueはクラスによってできることが大きく異なりますので、その点はご了承ください。今週は植生について取り上げたいと思います。ちなみに植生のバリエーションを増やしたいのであれば、植生エディタが必要になります。植生エディタについては来週取り上げたいと思います。本日は紅葉の時期は過ぎてしまったのですが、紅葉シーン製作に役立つ設定と題して2つの方法を紹介させて頂きます。

(1)紅葉の質感設定
Vueは景観ソフトで最初から樹木や植物が付属しています。通常の緑の木々を使用する時には、木の質感(特に葉の質感)はさほど問題にならないかと思います。一方、紅葉の木々においては、標準大気ではさほど問題にならないことが多いのですが、紅葉の木々をボシュメリック大気やスペクトラル大気で使用する場合、特に色艶やかな紅葉を製作しようとする時には、結構違和感を感じるのではないかと思います。実際の紅葉をよく見てみればわかるのですが、紅葉では葉にはあまり濃い影が出来ません。つまり、紅葉ではこの濃い影を消してやる必要が生じます。いくつか方法があるので、それを紹介したいと思います。なお、Vueに付属している大気は霧や靄に薄い青色が設定されていることがあります。紅葉の色彩に拘るのであれば、この設定も見直しの対象になることを覚えておいたほうがよいかと思います。


(サンプルシーン。大気はスペクトラル大気デフォルト)

設定方法その1
一番簡単な方法は間接光による影響を排除してしまうことです。Vueにはレンダリング設定に植生の間接照明を無視というチェックボックスが用意されています。このチャックを入れると、濃い影を消すことができます。同様の設定が質感にも用意されていて、間接照明マッピングというチェックボックスを外すと、同様の効果が得られます。レンダリング設定ではシーンに配したすべての木々に影響するのですが、質感設定では個々の木々で影響を変更することが可能です。


(レンダリング設定)


(レンダリング設定の植生の間接照明を無視にチェック)

この方法は最も簡単な方法なのですが、葉の影が弱いことで木々が平面的に感じられてしまうことが欠点ではないかと思います。

設定方法その2
私が用いている方法なのですが、質感の効果において発光体を利用するものです。下記設定では葉の質感発光体20%を設定しています。この方法では濃い影が完全に消えないので、木が平面的になりません。ちなみに、若者の肌においてSkinVueを使わない場合には、人物の肌の質感にも僅かながら発光体を設定することがよくあります。ただし、大気やによっては葉の色(この場合は赤色)が他のオブジェクトに影響してしまうことがあるので、注意が必要です。


(詳細質感エディタ)


(詳細質感エディタ効果:照明内発光体20%を設定)

設定方法その3
最近見つけた方法なのですが、上記と同じ質感効果において拡散反射と環境光の影響を変更するというものです。拡散反射を80〜100%、環境光を40〜80%にすると影の影響を弱めることが可能です。通常の設定ではこの2つの数値を合わせて100%になるように設定するらしいのですが、あまり違和感は感じませんでした。光沢の設定にもよるのですが、葉が輝いたような質感になります。


(詳細質感エディタ効果:拡散反射100%、観光光80%を設定)

この方法を用いれば、必ず上手くいくというものではないので、製作したいシーンや大気によってこれらの方法を組み合わせてみてください。

(2)高度によって植生の葉のマテリアルを切り替える
カエデは葉の質感が一つしか設定されていません。しかし、合成質感を用いると、高度によって葉の質感を変更することが可能です。環境の影響において、絶対値は5mに設定していますが、樹木の高さや切り替える位置によって、数値は変更する必要があります。環境の影響を設定することにより、方向によって質感を切り替えるということも同様の設定で可能なので、紅葉シーンを製作する時にはいろいろと試してみてください。実際に試してはいないのですが、Ecosystemを用いると山に配した木々の色を高度によって変更するということも可能なはずです。また、合成する質感の設定において関数を設定すると2つの質感の混合を複雑に変化させることが可能ですし、スムースブレンドの割合を大きくすると、2つの質感が混じる領域が大きくなります。


(高度によって質感を変更した例)


(詳細質感エディタ:合成する質感の設定)


(詳細質感エディタ:環境の影響)

(3)コメント
簡単ですが、紅葉シーン製作に役立つ設定と題して2つの方法を紹介させて頂きました。Vueの質感の設定は奥が深く、私も詳しくはないのですが、関数を使用することで複雑な設定を行うことが可能です。次週は植エディタの利用方法について紹介したいなと考えています。