04.27
Sunday
2008

本日は前回に引き続いて「桜川」の製作について、記載してみたいと思います。いつもはリアリティある作品を目指して制作するのですが、今回は絵画のような作品としてみたくて、通常とは設定を変えています。


「桜川」

(1)オブジェクトの配置(Poser 7 & Vue 6)
門は「Iyeyasu's Tomb」(DAZ)、桜と地面のマテリアルは「Incredibly Lush Hint of Spring(Cornucopia3D)」を使用しました。川はBryceに付属しているTerrain Mapsを一部変更したものを地形で読み込んで製作しています。

(2)シーンの設定(Vue 6)
以前紹介したのですが、ボシュメリック大気やスペクトラル大気で木々を配置すると葉に濃い影ができ、花木や紅葉ではこれが邪魔になることがあります(紹介記事は「こちら」)。改善の方法はいくつかあるのですが、今回はスペクトラル大気の標準を使用してみることにしました。私がよく使用するスペクトラル大気の閉塞環境モデルをと比較すると、全体的に白っぽくなり、画面にメリハリがなくなるなという印象を受けました。

川や地面の桜は質感レイヤーを使用しています。質感の上に別の質感を重ねる機能で、下の層の透け具合をアルファブーストで調整します。質感の中に質感レイヤーという分類があるのですが、これ以外の質感も質感レイヤーとして使用することができます。質感レイヤーはマテリアルが表示されているウィンドウの横「追加」というボタンを使用して追加します。川は荒れた海をベースに反射を付加しました。この上に一部下の層が見える雪の層という質感を桜色に変更したものを質感レイヤーとして追加しました。下の層が見える割合を変更したかったため、詳細質感設定でアルファ関数を以下のように変更し、川のあちらこちらに桜の花びらが漂っている様子を表現してみました。地面の桜は以下と同様に質感レイヤーを設定したマテリアルと地面のマテリアルを合成質感(削り落とし)でブレンドしたものを使用しています。


(川の質感)


(雪の層のアルファ関数を変更)


(地面の質感)

(3)ライティング(Vue6)
メインの太陽光は画面右上方に設置しました。この位置だと門が完全に影となるので、メインライトの約90度の位置に明るさが約半分のスカイライトを設置しています。人物フィギュアには影が薄くなるように、顔の側に点光源を設置しました。また、斜め上からスポットライトをあてて、髪の毛に光沢を出しています。ちなみにこれを「天使の輪」と言うそうです。また、桜の花びらには正面から桜色のスポットライトをあてて、花びらが白くなりすぎないように工夫してみました。

(4)コメント
この作品については前回コメントしていますし、ゴールデンウィークの予定は昨日書いたので、新作の進捗状況を記載しておきます。先週記載したのですが、植木屋さんが営んでいる植物園に行ってきました。そこで撮影した風景を参考に作品を制作しています。最近は頭に描いた作品がつづいたのですが、原点回帰ということでよく観察して製作してみたいと考えています。


04.26
Saturday
2008

Forum3Dに新作を投稿しました。来月で3DソフトPoserやVueを使い始めて、2年になります。これらのソフトを使用し始めたきっかけでもあるのですが、最初は物語りの一部を切り取ったような作品が製作したいと考えていました。原点回帰ということで、そんな作品を目指して制作してみました。


「いつかまたこの場所で」

このような作品についてはあまり多くを語らないほうがよいのかもしれませんが、少しだけ……。今回のテーマはStonemasonさんでした。マテリアルが秀逸でリアリティがある都市などを製作されている作家さんです。この方の作品はリアリティがある分、イメージが強烈なので、それを作品の一部に使用して自分なりのイメージを製作するのはなかなか大変なことだなと思いました。作り込みがされているだけに、カメラを設置できる位置が限定されたり、廃墟の都市ということもあるのですが、瓦礫が邪魔をしてフィギュアを配置したい場所に配置できないなとなかなか大変でした。蝋燭の光源の減衰と色温度に検討の余地があったかなと思うのですが、空の景色は自分なりに工夫してみました。縦の空間を意識することを教えてくれた作品です。

話は変わりますがForum3Dが一周年を迎えました。先週から「Something wicked」が表示されていたのですが、メンバーを対象にしたフリーアイテムの配布だったようです。一日限定ということもあり、よいものが手に入るので、日にちが変わるとすぐに飛んでいってダウンロードしています。私は昨年5月に登録したのですが、Forum3Dはいろいろな情報やきっかけを与えてくれました。これからも末永く続いてくれたらと思っています。

来週からゴールデンウィークに突入します。遊びに行く予定が入っているので、製作時間はあまりとれないように思うのですが、本家サイトの更新やあまり使っていないソフトを試してみたいと考えています。


04.21
Monday
2008

今回は「庭園」と「桜川」の製作について、紹介させて頂きます。「庭園」は今年2月に初心者のためのサンプルシーンとして製作を始めた作品です。紆余曲折があって、製作過程を紹介することにしました。「桜川」はつい先週完成した作品です。実は瑠香を用いて最初に思いついたのは、桜の木の下に佇んでいるシーンでした。パステル調レタッチを試してみたくて後回しにしたのですが、桜の時期ということもあって製作に着手しました。


「庭園〜The closed garden〜」


「桜川」

この作品両方を一緒に取り上げることにしたのは、実は同じようなミスをしていることが理由です。実はスケールが狂っています。樹木は高さが正確に決まっているものではないので、見た目の間隔で樹木を並べた後にオブジェクトやフィギュアを取り込むと大きさが合わないということが起こってしまいます。特にEcosystemでは樹木の大きさがよく判らないので、感覚で樹木を並べた後、オブジェクトやフィギュアを取り込んで後悔するということを何度か経験しています。先に取り込むのも1つの方法なのですが、特にフィギュアを取り込むとかなりメモリーを消費します。

解決策としては人物の大きさとほぼ同等のスケールを製作して、ある程度シーンが完成してから入れ替えるというものです。オブジェクトの入れ替えは、オブジェクトを選択した後、右クリックをすると選択メニューがでます。入れ替えという項目があるので、それを選択して目的のフィギュアと入れ替えます。今回製作したスケールはZが1.8m、直径(XとY)が50cmの円柱です。高さが判りやすいように縞模様をつけました。幅が10cmとなるように関数で縞模様(関数スケールが0.25、縮尺0.9)を設定したマテリアルを適用しています(下図参照)。

他にも方法があります。スケールを製作していて気が付いたのですが、初期のカメラ位置のままで中心位置にオブジェクトを配置すると、地平線までの高さがほぼフィギュアの高さである1.8mになっており、これを目安とする方法です。これはカメラの焦点距離を変更しても変化はありません。ちなみに、フィギュアの高さは正確には1.7798mです。


「焦点距離35mm」


「焦点距離70mm」

「庭園〜The closed garden〜」の製作について
(1)植生の配置と構図の改善
前置きが長くなったのですが、今回は「庭園」の製作について記載したいと思います。この作品は最初、森の中に光が差し込んでいるシーンを思い描いて、製作を始めました。最初のイメージは以下のようなものでした。植生を前後左右に配置した後、ボシュメリックライトにジェルを適用したものを配置して光の筋を描いています。ここまで製作した後、日時計を取り込んで光の筋の下に配置してみると、樹木と比較して日時計がかなり小さいことが判りました。


「初期シーン」

日時計を目立たせるためには日時計をかなり大きくしないといけないので、植生を配置し直し、光の筋の下でも日時計が目立つよう構図を工夫してみました。実はこれだけではどうしても難しかったので、日時計は少しだけ大きさを変更しています。



(2)植生の配置とライティングの検討
配色に気をつけながら、植生を配置して作品を仕上げました。オブジェクトはTemple Ruins、蝶はUltimate Butterfly Collection(共にDAZ)を使用しました。植生はVueに標準で付属しているもの以外にも、Flink's Flowers(Renderosity)、Incredibly Lush Ivy KitIL-High GrassesIL-Grassy Places!(Cornucopia3D)を使用しています。日時計はRuntimeDNAで入手できるフリーのものです。

植生を配置した後で、雰囲気があまり好きではなかったのでライティングを検討しなおしました。光の筋がよく判るよう周囲は暗くしたライティングを採用したのですが、オブジェクトがよく判るように、もう少しライティングで嘘をついてもよかったかなと考えています。


「不採用としたライティングシーン:一例」

(3)コメント
本日、植木屋さんが営んでいる植物園に行ってきました。森を切り開いて花木が無造作に植えられているだけなのですが、作品の参考になりそうな風景に数多く出会うことが出来ました。この2作品は共に頭に思い描いた風景をVueで製作したものです。製作した直後は気が付かなかったのですが、今見返してみるとどこか嘘っぽさがあるように思います。風景画を頭の中だけで描くのは結構難しいことなんだなと感じました。

Forum3Dのトップページ画像募集に合わせて製作を始めました。期限までに完成するかどうかは判らないのですが、原点回帰ということでストーリー性のあるCGが製作できたらなと考えています。Forum3Dも4月22日で一周年を迎えるようです。先週から「Something wicked」が表示されているのですが、これって何なのでしょうか?翻訳をつかうと「邪悪な何か」という訳になるのですが、とても気になります。