06.30
Monday
2008

暫く時間が空いてしまったのですが、「小堂雪景色」の製作の続きです。今回は雪が降り積もった低木の製作過程と大気の設定を紹介します。


「小堂雪景色」

(1)雪が降り積もった低木の製作
雪が降り積もった低木はずらしと呼ばれる方法を使用しました。おおまかな流れとしては(1)木をコピーペースト(2)片方の木を少し上にずらす(3)葉の質感を雪の質感に変更(4)修正が難しい部分はレタッチで修正というやり方で製作しています。

木は古いユーカリをベースにしました。最下層の葉は一部緑が見えていることもあって、合成質感を用いて所々雪がのこっている質感としました。一番下の木だけレンダすると、以下のような画像となります。


(一番下の木:余談ですが背景が思った以上に綺麗……)


(葉の質感設定)

次にこの木をコピーして少し上にずらしました。葉の質感は白のみとしてします。幹の部分は地面の下にかくれてしまうのですが、念のため透明の質感を適用しています。これだけでは、雪を被った様子にならないので、この上にさらにこの木をコピーしたものを重ねました。葉の質感は質感レイヤーの雪の層を使用して、一部下の葉が見えるようにしています。これらを回転させてできるだけ見栄えのよい方向とし、細部はレタッチで仕上げたのが一番上の画像です。


(雪の層を適用した樹木をずらして上記に重ねたもの)

(2)大気の設定
大気の設定は以下の通りです。確か夏をイメージした大気の設定だったはずなのですが、
標準で付属している大気とは異なるみたいで、どこから持ってきたのかは不明です。太陽はカメラの背後斜め右方向からの一灯だけです。シーンを構築した後に再度ライティングを見直そうと思っていたのですが、雪の質感が上手く表現されており、正面の小堂の障子に上手い具合に木々の影が落ちていたので、このままでよしとしました。



(3)コメント
長々と書き連ねてきた「小堂雪景色」の製作日誌も今回で終わりです。梅雨があければ、もうすぐ夏、海の景色でもまた製作してみようかなと考えています。


06.27
Friday
2008

約二週間ぶりのBlog更新です。週末には大抵Blogを更新するのですが、Forum3Dの一周年記念フリービー展の作品製作にかかりきりで、更新する気力がありませんでした。先週火曜日から製作に着手したのですが、明るさの調整に手間取りました。暗くしすぎると細部が判らなくなるし、明るすぎると夜の雰囲気がでないということもあるのですが、Vueのプレビューと最終レンダの明るさが違いすぎて、思い通りの感じになかなか仕上がりませんでした。

日曜日の夜には一度最終レンダしてみたのですが、背景の木々の雰囲気がプレビューと最終レンダでかなり違っていたこともあって、Ecosystemで生やした植生を約半数入れ替えることにしました。植生の入れ替えは月曜日には終了したのですが、馬のポーズが気に入らなくて、火曜日から修正をしていました。今週水曜日から暫く不在とすることもあって、何とかそれまでに完成させたいと思っていました。レンダリングした後、Vueのポストレンダリング設定で雰囲気の異なるものを数枚書き出して、ポストワークで仕上げたのですが、完成した時にはすでに12時を回っていました。題名でも迷ったのですが、Wildをいう言葉を入れたかったので、以下の題名を採用しました。


「Wild taste」

フリービーで頂いたものでは、この作品で使用したコーヒーミルが一番のお気に入りでした。そこで、コーヒーのことをいろいろと調べてみたところ、野外でコーヒーを入れるのに使用されるパーコレーターなるものがあることを知りました。携帯用のミルで豆を荒くひいて入れるそうなのですが、野外で飲むコーヒーってなんだか旨そうだと思いませんか?そう思う人もいるみたいなのですが、書き込みを見てみるとパーコレーターを用いて美味しくコーヒーを入れるのは結構難しいようです。

パーコレーターをネットで検索すると、「西部開拓時代、カーボーイ達は 急激に冷え込む厳しい自然環境の中、暖を取るために薄い珈琲を沢山飲んだ」というカーボーイに関するを見つけました(記述はこちら)。そう言えば、アメリカンコーヒーなるものを飲んだ時、随分薄いコーヒーだなと思ったことがあるのですが、どうやらこのカーボーイと関係があるようです(詳しい記述はこちら)。

3月のDAZのセールでカーボーイスタイルの衣装を安くで手に入れていたこともあって、カーボーイを題材とした作品を制作してみました。調べてみるといろいろな背景があり、それが現在まで続いているということが興味深かったです。今回だけの題材とするのは、惜しい気がするので気が向いたら、またカーボーイを題材としたものを製作してみたいなと考えています。

フリービー展のほうは、投稿期間約半分が過ぎた時点で、28作品が投稿されています。なかなかの力作揃いで発想が面白い作品が多いなと思いながら拝見しています。これから後半となるのですが、どんな作品が投稿されるのか楽しみにしてみます。私もできればもう1作品製作できればなと考えているのですが、時間との兼ね合いになるでしょうね。


06.16
Monday
2008

Runtime DNAで販売されているRender Studioを以前紹介しました。使い始めたばっかりだったので、詳しいレポートが出来たなかったのですが、今回Forum3Dに投稿した2作品をこれを用いて製作したので、活用方法など詳しいレポートをしたいと思います。

Render Studioは写真撮影のスタジオをVueで再現したようなもので、20以上のライト、背景Propsが設定されたVueファイルとして提供されます。このため、使用するためにはVueが必要です。予めライトが設定されているので、所定の位置にフィギュアを配置し、ライトの明るさを調整するだけで簡単に人物のライティングを行うことができます。


(RenderStudioの初期画面)

これ以外には、人物のライティングに適するように設定された大気と背景Props用のマテリアルと目のマテリアルが付属してきます。


(付属する大気、画面を真っ黒から明るいAmbient環境まで4段階に変更できる)


(背景用マテリアル)


(目のマテリアル)

ライトの位置が予め設定されているので、とても簡単にライティングを行うことができます。使用するフィギュアのマテリアルにもよりますが、かなりリアルに人物を描き出すことが可能です。これを使って製作した作品を下に掲載しているので、参考にして下さい。

私が面白いと思ったのは大気の設定です。室内や夜など画面を暗くしたいと思ったことはないでしょうか?ライティングの効果を知るには真っ暗な状態からライティングをしたほうがよいことがあるのですが、Vueでは例えば標準大気を用いて、太陽光を削除しても画面が真っ黒にはなりません。大気の設定が必要なのですが、ここまで極端なパラメータ設定が必要なんだなということが判りました。また、どの大気も光源のグローバル照明調整のパラメータである光源バランスと環境光の設定が同じでした。人物を綺麗に描き出す場合には、他の大気でもできるだけこの設定に近づけてやればいいのだろうなということが判り、結構参考になりました。このあたりの情報も金額に含まれると思いますので、詳細が知りたい人は購入して大気の設定を確認してみてください。

人物がリアルに描きだせるのですが、背景が寂しいこともあってなんとかできないかなと思って、いろいろと試してみました。まず、最初が写真との合成です。背景用Propsに背景を貼り付ける方法を試してみたのですが、なかなか思い通りの位置に背景がこないこともあって、高度なカメラ設定のバックドロップを用いることにしました。なお、背景はPhoshop ELを用いてボカシをかけるなどの加工をしています。Psdファイルのまま背景画像に指定すると、加工しながら合成ができるので便利だと思います。ちなみに、正方形の画像を使用する必要があるようです。


(高度なカメラ設定:カメラを選択してメニューを開き、オブジェクトの編集を選択すると設定画面を呼び出すことができる)


(背景との合成作品)

この作品では屋外を想定していることもあって、大気は標準で付属しているビックワンを使用し、背景と光源の方向を合わせてみました。屋外ということで影を濃くする必要があったので、他のライトの効果があまり顕著ではなく、使用例としてはあまり意味がなかったかなと考えています。Vueの被写界深度を用いて、フィギュアの一部をぼかし、レタッチソフトで修正したのですが、背景とのボケ具合とのミスマッチが気になっています。背景との合成では、このあたりも気をつけないといけないなと思いました。

次に、背景用Propsの代わりに室内用3Dモデルを配置してみました。Forum3Dのお題でレンダ■ファッションコーディネートに投稿するために製作したものです。ファッションセンスがあるなしは別にして、こちらはなかなか面白い作品になったかなと考えています。フィギュアはrealisticとMuscularの値を1.0にしたHiro3、衣装はAdzanさんがフリーで配布したものを使用しました。ちなみに、レッグベルト、ベルト、Tシャツの柄に同じテクスチャを用いています。Tシャツのテクスチャは市販のテクスチャとPhotoshopのブラシを用いて自作しました。



次回作はForumn3Dの一週年記念フリービー作品になると思うのですが、夜の場面を考えています。その作品でVueシーンでのRenderStudioの利用を試す予定にしています。リアルな作品ができるのはよいのですが、それだけマテリアル設定もシビアになります。個人的には、マテリアル設定をいろいろと変更して試してみることは嫌いではないのですが、Vueの質感設定のよさと機能的に出来ないことへの不満にも繋がっていると感じています。