07.27
Sunday
2008

本日はCornucopia3Dで販売されている「Watery Places」を紹介したいと思います。この製品は水場のシーン12場面がVueファイルとして提供されます。製品紹介にも記載されている通り、素材として新たなシーンを製作することも可能ですし、learning toolとして使用することもできます。Vueでは水のある美しい場面が製作できるのですが、波の表現などは工夫が必要だなと感じていました。また、他人が製作したVueファイルを覗けることは滅多にないので、思い切って購入してみました。

製品紹介にも記載されているのですが、ほとんどシーンで質感レイヤーが使用されています。質感レイヤーでこれだけの表現ができるのには、正直驚きました。説明するまでもないと思うのですが、質感レイヤーは質感の上にさらに別の質感を追加するというもので、Vue6の新機能です。質感設定において、追加というボタンを押して質感を追加するのですが、アルファブーストの値を変えることで上の層の質感の透け具合(下の層が見える程度)を変化させることが出来ます。



例えば、以下の滝は質感レイヤーで表現されています。詳細設定を使用する必要があるのですが、質感レイヤーの雪の層の応用することで、ここまでの作品を製作できます。



折角なので、付属のファイルで、以下のような作品を制作してみました。難破船を製作してみたかったのですが、上手く船が崩せなかったのでほとんど原型を留めています。なお、付属の質感レイヤーを使用してはいるのですが、質感の設定は変更しました。波で砂浜が濡れているのが、結構リアルだと思うのですが、これは質感レイヤーを用いて表現しています。波の部分も同様に質感レイヤーで表現しています。




(質感:Wet Sandには反射が設定されており、濡れた砂浜を表現できる)

質感レイヤーを使用することでよりリアルで複雑な質感設定ができます。私もこれを購入するまでは質感レイヤーを使っていなかったのですが、最近ではよく使用するようになりました。質感レイヤーをほとんど使っていないという人にはお勧めです。


07.12
Saturday
2008

被写界深度を使用すると、焦点があっている部分だけがくっきりと見え、他の部分はぼやけた感じとなります。実際のレンズや人の目は被写界深度があるので、被写界深度を使うことで、作品に奥行き感があるリアルな作品を製作できます。また、焦点があっている部分だけがくっきりと見えるので、製作者の興味の中心が何かということを作品を見ている人にはっきりと伝えることが出来ます。

Vueでも被写界深度を設定することはできるのですが、レンダリング時間がかかる割にはノイズがのったような仕上がりとなります。Photoshopではレンズぼかしを使用することで被写界深度を表現できるそうなのですが、GIMPを用いて被写界深度を表現できないかなと調べてみたところ、プラグインを追加することで被写界深度を表現できることが判りました。今回はGIMPとVueの組み合わせを紹介させて頂きます。PoserでのZ値の取得については、Kyotaroさんが「Tips:PoserでのZ値の取得について」をForum3Dに投稿されていますので、そちらを参考にしてみてください。

(1)GIMPとフォーカスブラープラグインのインストール
今回使用するプラグインにはVer2.2もしくは2.4が必要です。GIMP2のことは「GIMP2を使おう」を確認してみてください。現在の最新バージョンは2.4です。このサイトで紹介されているプラグイン「フォーカスブラーv2.3」を使用します。インストールの方法とプラグインの使用方法は上記プラグインのページに記載されていますので、そちらを参考にして下さい。

なお、使用方法を記載したページを参照すると、プラグインの最新版は3.2.3であることが判ります。これを使えれば良かったのですが、コンパイル環境が必要であることが記載されており、正直インストール方法が判りませんでした。このため、今回はv2.3を使用しました。使い勝手は大きく違わないと思います。

(2)Z値(Zデプス)画像を用意する。
被写界深度を使用する場合にはZ値(Zデプス)画像が必要となります。この画像は各オブジェクトまでの距離を示している画像で、Vueでは遠い位置にあるオブジェクトほど白く描かれます。Vueでは画像をレンダリングすると、Zデプスチャンネルに関する情報が同時に生成されます。メインカメラのすぐ上に「Z」と記載されたアイコンがあるので、それを押してみてください。それがZ値画像です。これを予めフォルダに保存しておきます。今回は以下の画像を使って説明を行います。なお、元画像をPSD 8bitで書き出したところ効果が上手く適用できませんでした。今回の元画像はBMPを使用しています。


「元画像」


「Z値(Zデプス)画像」


「GIMPフォーカスブラーを適用したサンプル画像」

Z値画像は、実はレタッチソフトで加工したものです。窓ガラス部分は、付近の壁と同じZ値を持つことになります。このため、窓ガラスの奥の景色に被写界深度を適用したい場合には、Z値を予め加工しておく必要があります。なお、窓ガラスに室内のオブジェクトが写し出されている場合には、その画像に被写界深度が適用されますので、別途方法を考える必要があります。このあたりの詳細については、今回は割愛させて貰います。

(3)GIMP2でのフォーカスブラーを用いた被写界深度レタッチ
GIMPを立ち上げて、被写界深度を適用したい画像(元画像)とZ値画像を読み込みます。元画像を選択→フィルタ→ぼかし→Focus Blurを選択すると、以下のようなウィンドウが開きます。もし、Focus Blurが表示されない場合は、プラグインが正常にインストールされていないので、再度インストールしてみて下さい。


(GIMP Forcus Blur)

MainのタグのDistance Mapにチェックを入れ、Z値画像を指定します。焦点があう箇所は一番したのForcusで調整することもできるのですが、プレビュー画面で焦点をあわせたい箇所を中クリックすることでも指定できるので、こちらのほうが簡単でお勧めです。Model and Radiusでぼかし方を指定します。ぼかし方の違いにより、以下のような効果を得ることができます。Ringは明るい部分が綺麗な輪になるので、夜景をぼかす時に役立ちそうです。これ以外にもブラシを用いたぼかしを適用することも可能です。「GIMP2を使おう」に記載されているGIMP2.4の機能紹介によればPhotoshopのブラシを使えるようになったらしいので、他にも面白い効果を得ることができるかもしれません。


(左から順に、Flat、Ring、Concave、Gaussian:値はすべて20)

(4)コメント
インターフェースが独特なのですがフリーで高機能なので、最近はGIMP関連の機能を紹介しているサイトも増えました。完全に移行できればよいのですが、使い慣れたソフトから離れるというのは、なかなか難しいものです。他にも面白いプラグインを見つけたので、また機会があれば紹介したいなと考えています。


07.10
Thursday
2008

新作の紹介です。フリービー展に出展しようと思って、製作を始めたのですが、HyperVueが途中で異常終了するなどのトラブルが続いて、結局間に合いませんでした。どうせ間に合わないのであれば、修正したいとおもっていた窓の外の景色を作り直しました。また、カメラを向いていないほうは衣服が多少破れていてもよいかななどど安易に考えていたのですが、ガラスに映っていることに気が付いて再度修正したこともあって、本日やっとこさ完成しました。


「窓辺〜夏景色〜」

VueのRenderStudioを使って、背景も作りこんだ作品を制作したいと思っていたこともあって、室内から窓の外を眺めているという景色としました。前回RenderStudioを使った作品もそうだったのですが、布の質感に拘って製作してみました。人物がリアルに表現されると、髪の質感や衣服の質感が結構気になったりします。窓から見える景色は前回のBLOG「小堂雪景色」の製作について(その3)で使用した背景が、結構綺麗だったこともあって、それに海を配置して白い砂浜の夏景色としてみました。外が雪景色で室内に薄布を着けている人では、流石におかしいだろうと思ったことが理由です。

Vueの被写界深度はあまり綺麗ではないこともあって、この作品はGIMPフィルターを使って、Z値を用いた被写界深度を試してみました。フィルターの最新版が紹介されているホームページを見つけたのですが、インストールが難しいこともあって、いろいろと調べている内に結構時間がかかってしまいまいました。他にもいくつか試してみたいことがあるので、週末にでもこのあたりの詳細を紹介したいなと考えています。簡単ですが、作品紹介でした。