02.09
Monday
2009

しばらく間があいてしまったのですが、雪景色の製作基礎編の最後として植生の質感変更を2回にわけて記載したいと思います。雪景色の製作プランによって質感設定の詳細は変わってくるのですが、雪景色の写真や可能であれば実際に雪景色を見て検討してもらえばと思います。雪景色は白一色ということもあって、別の彩りが欲しくなります。冬にはナンテンや万両など赤い実をつける木々が多いので、赤い実の植生を用意しておくとよいのではないかと思います。私がよく使用するのはオブジェクトなのですが、RDNA Winter Foliage - Berry Trees 1です。冬の花としては椿や梅などが上げられるかと思います。白い雪と赤い花や実のとりあわせは、冬の定番なのかもしれませんね。彩りとは言えないのですが、雪景色の間から下草を覗かせたいのであれば、枯れた感じを出すために、茶色に変更したほうがよいと思います。

(1)針葉樹の場合
雪景色に植生を配置したい場合、冬でも葉が落ちない針葉樹が一番楽だと思います。針葉樹は葉が込み合っているため、枝や幹が雪を被ることはありません。このため、葉のみ質感を変更すればよいことになります。残念ながらVueには適当な植生が付属していないので、購入せざるを得ないのですが、雪景色で使用できるテクスチャも同時購入することをお勧めします。私が所持している植生としては、以下のようなものがあります。

Bulky Conifer
ポリゴン数が少ないので、Ecosystemでの利用に向いています。植生エディタで編集したIncredibly Lush Conifers for the Bulky Conifer(プロダクト)に雪景色で使用できるマテリアルが含まれています。

Scots Pine
ポリゴン数が多いのでどちらかといえば、近景向きです。植生エディタで編集したIncredibly Lush Western Mountain Trees(プロダクト)に雪景色で使用できるマテリアルが含まれています。

なおどちらのプロダクトもIncredibly Lushのプロダクトだけでは使用できません。商品画面に必要な植生が記載されていますので、購入される際には必ず目を通してください。

針葉樹の場合、質感を変更することはあまりないと思います。しかし、製作プランとして、例えば強い風が一定の方向から吹いてきて雪が付着した場面を製作したい場合には、雪が付着した葉のマテリアルを風が植生にあたる方向に集める必要があります。詳細は省きますが、このような場合は合成質感の環境の影響タグで方向の影響を使用してみてください。

(2)枯れ木の場合
次に製作しやすいのが葉の落ちた木ではないかなと思います。秋に葉が落ちると小枝だけがのこるのですが、これに雪が付着すると綺麗な雪の華が咲くことになります。Vueに標準で付属している枯れ木は枝の先の小枝が削られていますので、標準的な葉のマテリアルが設定された植生で雪の華を製作することになります。今回は「別れの朝」で使用した雪の華が咲いた木の質感設定を紹介します。


「別れの朝」(クリックすると大きな画像が表示されます)

この木はバオバブの木を植生エディタで編集して製作しました。葉の質感は「冬の梨」の葉のマテリアルを質感エディタで変更して製作したものです。一度「冬の梨」を呼び出して、質感をコピーした後、目的の植生の葉のマテリアルにペーストした後、以下のように変更しました。アルファ画像は「冬の梨」の画像をそのまま使用しています。


「葉のマテリアル」:変更箇所のみ表示

カラー&アルファで使用したカラーアップは完全に白ではなく、-0.58の位置に色相、明度、彩度の順に64、237、54の薄い緑色を使用しています。完全に白でも良かったのですが。多少着色した部分があったほうが立体感がでるかなと思ったので、このような設定にしました。バンブは濃い影ができるので、元の値より小さい値を設定しています。発光体は濃い影ができないよう値を設定しました。バックライトがきくように質感を設定していますので、背後から影のない強い光をあててもよいかもしれません。参考までに枝と幹の質感は以下の通りです。


「合成質感の設定」

質感1は質感レイヤーを使用しました。これだけでは雪が枝に被さっている感じが今一つだったので、雪の質感を一部変更した質感2との合成質感を使用することにしました。

質感1

「凍てついた湖」の質感:雪の層と同じですが発光体を+20%としています。


「Southern Magnolia Trunk」Cornucopia3Dで購入した画像を用いた質感です。

質感2

雪の質感を変更:バンプの関数はあばた、その他発光体の値を+20%に設定しています。

質感設定はライティングとの兼ね合いもあって、これが正解というものではないので自分でいろいろと試してみることをお勧めします。雪景色の製作は以前記載したように質感勝負なのですが、そうでない作品でもあーでもないこーでもないと言いながら質感の変更だけで1週間以上を費やすことも珍しくありません。次回は「雪の古城」で用いた葉に雪が付着したような植生の質感設定と直接マテリアルをレタッチソフトを用いて編集する方法を紹介したいと思います。


02.08
Sunday
2009

新作紹介です。今年初製作した作品で特に期限もないので、丁寧に製作することを心がけました。この作品では、大気中の水蒸気が凍ってできた小さな氷の結晶-ダイヤモンドダストが日の光で輝いて見える様子を再現してみました。詳細は別途記載する予定なのですが、Vueのエリア光源の機能を使用しています。レンズフレア反射光の数値を極端に大きくして、強制的に反射光を発生させています。実際の作品に取り入れてみると、ハレーションが発生しているような感じになりました。こんな表現もできるんだなというのが正直な感想で、Vueは奥が深いなと思いました。


「別れの朝」(クリックすると大きな画像が表示されます)

V4.2を取り込むとメモリーを大量に消費してVueの反応が鈍くなってしまうので、一度取り込んでイメージを取り込んだ後、一度V4.2を削除し、背景を作りこんでから再度取り込みました。ウルトラでレンダリングしたかったのですが、メモリーがたりないと言われてレンダリングできなかったので、使っていない被写界深度とモーションブラーの設定を外したユーザー設定でレンダリングしました。前回、ダイヤモンドダスト再現のレンダリング画像を公開したのですが、最初に手法を検討し、それを実際の作品に取り込んで作品を制作するということを今回初めて試してみました。イメージがつかみやすいということもあって、製作手順としてやってみてよかったなと感じました。

今年初めに記載した気象現象の再現としてダイヤモンドダストを製作したのですが、この気象の再現シリーズが後から見たときに一連の話になっているのも面白いかなと思っています。各地を回って、その土地で目にする風景を描くというものです。このため、旅立つ人が乗る船を見つめている別れの場面を描くことにしました。最終的に相手の男性は登場させず足跡のみとしました。足跡は別れた男性のものという設定だったのですが、artist sideで頂いたコメントを見ると判りにくかったかなと反省しています。もう少し足跡をはっきりさせたほうがよかったかもしれません。

2月初旬といえば、例年は一番寒い時期で雪が多かったりするのですが、温暖化の影響なのか今年はとても暖かい一日でした。和風展でも雪景色を製作しようと思っていたのですが、時期外れになってしまうかもしれません。昨年は結構バタバタで製作したので、今年は余裕を持って製作したいなと考えています。