10.19
Monday
2009


今回は和風企画展へ投稿した作品を紹介させて頂きます。題名から判るかと思うのですが、花札の絵柄をモチーフに日本の風景を描いてみました。作品紹介を兼ねて、簡単な解説(言い訳ともいう)を記載したいと思います。作品は和風企画展のページで確認できます。3ページ目の中段付近が私が投稿した作品です。

(1)コンセプト
最初は10月と11月の花札にちなんだ日本の風景を製作し、単純に横に並べるということを考えていました。けれど、この形ではあまり花札という感じがしないので、投稿した作品のように3枚を並べることにしました。一枚一枚の作品は悪くないと思うのですが、これらを組み合わせると、小さくせざるをえなかったせいもあってか、今ひとつ迫力に欠ける仕上がりになってしまったのが残念です。レンダリングした画像はPaint Shop Proで枠をつけるという加工を行いました。

花札の絵柄を参考とするため、インターネットで花札調べてみたのですが、いろいろと面白いことが判りました。大抵の人が思いつく定番の絵柄というのがあるのですが、昔は地方札というものがあってバリエーションが豊富だったようです。韓国にも花札があって、絵柄は日本とほぼ同じだということも判りました。身近なものでも調べてみると結構奥が深いな等と妙に感心してしまいました。

(2)8月:ススキと月
この作品はVueでレンダリングしました。ススキはLisa's Botanicals - Indian Grassのテクスチャをいじって、ススキのように仕上げました。月に輝いている感じをだしたかったので、質感にバックライトを適用し、背後から強めのライトを当てています。月が輝いている感じは今回はGIMPを使用し、レタッチで仕上げました。花札では月が大きく描かれているのですが、リアリティがなくなってしまい他の札とのバランスが悪くなるので、下のような大きさとしています。

ススキと月というと、15夜が有名で9月のイメージがありますね。花札の暦は恐らく太陰暦なので、8月なんだろうな等と考えながら製作しました。最初は選んだ絵柄が秋にちなんだものが多いので、日本の秋の風景というタイトルにしようかなとも考えていたのですが、花札に描かれている季節とずれがあるように思えたので、最終的には上記のタイトルとしました。


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(3)9月:菊
本当は連続した3ヶ月の花札の絵柄を描きたかったのですが、9月の菊が他のものと同じような感じに仕上げることが難しかったので、GIMPを用いて線画風に仕上げて背景に使用することにしました。以前も感じたのですが、クローズアップした花をリアルに表現するというのは難しいですね。菊はESHA'S CHRYSANTHEMUMS for Poserを使用しました。杯を配置することも考えたのですが、空きスペースに杯だと判るように配置するのは難しかったこともあって、最終的には諦めました。


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(4)10月:紅葉と鹿
この作品はWorld Gardens Japan Bundleというプリセットを使用し、Carrara 7 Proでレンダリングしました。比較的簡単に製作できた作品です。茶室の側にカメラを配置し、茶室と植え込みを削除し、植生を入れ替えて鹿を配置しました。鹿はテクスチャをいじっています。紅葉シーンはプリセットがよいこともあって、Vueで製作するよりもリアルなものが製作できるなと感じています。


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(5)11月:柳と小野道風
この製作が一番大変でした。この作品もWorld Gardens Byodo Inというプリセットを使用し、Carrara 7 Proでレンダリングしています。商品ページの画像を見て、この作品を制作してみようと思い立ちました。プリセットの東の橋の付近を使用し、植生を一部入れ替えました。狩衣はDCです。Poserで人物に着用させた後、シミュレーションをモーフに変換して、Carraraに取り込みました。Carraraにネイティブインポートで取り込むとコンフォームクロスの人物へのフィッティングが外れてしまいます。再度Carraraでフィッティングする方法が判らなかったので、OBJに変換してから取り込みマテリアルの修正を行いました。

本当は柳を大きく描いたほうが綺麗なのですが、花札として仕上げるために以下のようにしました。Vueで綺麗な風景画を製作しているDOMさんが、以前柳を題材とした作品を製作されていたのですが、柳も結構綺麗なんだなということが製作してみてよく判りました。私が住んでいる所は冬、湿気を含んだ重い雪が降ることもあって、柳を見かけることはないのですが、日本各地でも柳は減っているような気がします。光札は日本の典型的風景が描かれているものが多いので、11月も日本を代表する風景だったはずなのですが、失われていく風景なのかもしれませんね。


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今回のつぶやき
もうそんな時期なのかという感じなのですが、書店で年賀状のイラスト集が出ているのを見かけました。今年は和を題材としたイラスト集なんかも出ていて、いろいろと参考になりました。私は例年親戚や同僚、会社関係など同じ年賀状を出すのもどうかなと思っていることもあって、5-6種類のバージョンを製作します。また、年末は例年バタバタしていることもあって、購入したイラスト集の素材を多少加工してささっと仕上げてしまいます。

3DCGを趣味にしている人って、年賀状どうしているのでしょうね。来年の干支は虎。DAZで販売されているMillennium Big Catも持ってはいるのですが、目に力がないのが好きになれないんですよね。FURと組み合わせれば、クローズアップでなければそれなりのものはできるように思うのですが、写真や市販のイラストのほうが、簡単で出来はいいように思います。そんなこともあって、私は今年もささっと仕上げてしまうような気がしています。


10.10
Saturday
2009

64bitPCで製作した初作品です。DazではShe Freak V4が発売され、乗り遅れた感はあるのですがFreak 4を使用してみました。力天使パワーを自分なりにアレンジして描いてみた作品です。力天使パワーとは神により最初に造られた天使であり、対悪魔戦におけて最前衛を務めることが多かったそうです。それ故、任務は過酷であり、最も悪魔と接触する機会の多い天使であるため、堕落する危険性も高かったようでした。本来天使は無性なのですが、そんな過酷な状況で戦っていたということもあって、Freak 4を使用してみました。

 
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今回はPoserでライティングを変えてレンダリングした複数の画像をGIMPで加工処理して仕上げてみました。背景は写真です。人物に乱反射したような光の筋が落ちているのですが、マテリアルを適用したライトを使用してみました。RuntimeDNAで販売されている「Lightworks Flamez」というものです。使い所が難しいライトなのですが、この作品では上手くはまったかなと考えています。この作品はできるだけリアルな感じになるようバックライトを強めにあてたり、影だけを書き出して追加したりしてみました。背景に写真をつかったこともあって、あまり手間はかかっていないのですが、個人的には結構お気に入りだったりします。

今回のつぶやき
大きな液晶ディスプレイを購入したこともあって、作業スペース広くなり操作が快適になりました。ちなみに、Poserのメインウィンドウの大きさは800×800です。以前はアイテムを呼び出すのに、ライブラリパレットを閉じたり開いたりしていたのですが、その必要がなくなりました。また、これだけの大きさの画像をレンダリングしようとすると、それなりに時間がかかっていたのですが、64bitPCということもあって、レンダリング時にもストレスを感じることはありませんでした。



現在、和風企画展の作品を制作中です。先のコメントにも記載したのですが、日本の神話を題材にした作品を制作してみたいなと思っていたのですが、諸事情により変更することにしました。「10月と11月」をテーマにしたものになるとおもうのですが、少しアレンジを加えようと考えています。他に思いついたのは(1)秋の景色:DAZのアイテム利用が難しそうなので今回は見送り。(2)夕暮れの駅のホーム:ローカル線の風景を描きたいなと思っています。今回出展を見送ったとしても、いつかは製作してみたいと思っています。(3)おいらんを題材とした作品:F3Dのお題でレンダの今回のお題で思いつきました。他にもいろいろと思いつくものはあるのですが、実際に製作できるものは限られていますね。この連休は作品制作にかかりきりになりそうです。


10.02
Friday
2009

今回はVue7より導入されたメタウォーターについて解説したいと思います。Vue6までは波の表現をする場合、いろいろと工夫が必要だったのですが、Vue7からメタウォーターが搭載されたことにより、比較的簡単に波を表現できるようになりました。

(1)メタウォーターの呼び出し
左端の一番上のアイコン(水面)をクリックして水面を呼び出してください。呼び出された水面を選択し、右クリックしてメニュー画面を開き、オブジェクトの編集を選択してください。これで水面設定の画面が表示されます。


(水面呼び出し画面)


(水面設定画面)

(2)波を表現するための水面設定1(バンプマップを使用)
上記設定のままでは判りにくいと思いますので、全体のうねりを80%に変更してレンダリングしてみます。ちなみに、風の方向を変更すると波の方向を変化させることができます。波がたっているように見えるのですが、水面の質感にはバンプが適用されており、実際には水面はフラットのままの状態です。Vue6では質感設定でバンプマップを変更して波を表現していたのですが、メタウォーターではバンプマップの変更も上記の設定画面で行うこととなります。


(レンダリング画面)

Vue7にもVue6に付属していたのと同様な液体のマテリアルが付属しています。この液体のマテリアルにはほとんどの質感でバンプマップが適用されています。これを適用してしまうとグローバルな波のコントロールと風の方向は選択できなくなります。Vue7にはメタウォータのための質感が予め用意されていますので、メタウォーターを使用するときにはこれらの質感を選択するようにしてください。ちなみに、メタウォーターの質感は以下のようになっています。これからメタウォーターは泡のマテリアルレイヤーと水のマテリアルレイヤーで構成されていることがわかるかと思います。


(メタウォーターの質感)

(3)波を表現するための水面設定2(ジオメトリを変化させる)
先にも記載したように、上記設定では水面はフラットのままです。Vue7より新機能として地面(無限平面)にも起伏を適用することができるようになりました。これと同様に水面にも起伏をつけてリアルな波を表現できることができます。水面設定を呼び出し、置換された水面にチェックを入れ、グローバルな波のコントロールを使用のチェックを外します。その他のパラメータは以下を参考にしてください。今回は波の状態が判りやすいように波の高さをかなり高く設定しています。側面表示などでを確認すると、実際にジオメトリが変化していることがわかるのではないかと思います。


(水面設定:水面に起伏をつけて波を表現するパラメータ設定の一例)


(レンダリング画面)

各パラメータの詳細は省きますので、説明書で確認したりパラメータを変更してみたりしてください。ただし、この水面設定では波頭を内側に巻き込むような波を表現することはできません。もし、このような波を表現したい場合は外部モデルなどを用いる必要があります。実際に試してみたことはないのですが、Crashing Waves for Vue」がRMPで販売されています。まだ未確認情報なのですが、Vue8の機能をみると「Leading Edge Performance」が記載されているので、このような波を表現できるようになるかもしれないなと考えています。

(4)水面での光の反射
「棚田の夕暮れ」の製作において、海に浮かぶ漁火を水面で綺麗に反射させるのも課題のひとつでした。水面に映し出された光が水底に伸びていくような感じを表現したかったのです。水面で光を反射させるので、水の質感に反射の値を設定していろいろ検討してみたのですが、結局のところ水の質感は透明度の設定のみとし、反射の値を設定しないと上手くいくことが判りました。その他の要点をまとめると、以下のようになります。
(1)水の質感には反射の値を設定しない
(2)光源はエリア光源や発光体の数値を入れるなど面積の広いものを用いる
(3)光源とカメラを近づけすぎない。

もう少し工夫が必要だったかなと思っていたこともあって、船に光源を乗せて水面で光源を綺麗に反射させる質感設定を検討してみました。上が初期設定、下が質感を修正した画像です。下の画像では上記の要点以外に水底(地面)に反射(50%)を設定してみました。個人的にはいい感じに仕上がったかなと考えています。夜の海や夜景を描きたいときに応用できるだろうなと考えています。


初期設定:水面はデフォルトのメタウォーター(グローバルな波のコントロールを使用:50%、地表高度6m)


地面にミラー(反射50%に変更)の質感を適用し、光源の透明なガラスを不透明なガラスの質感に変更、水面の質感も綺麗に表現できるようです。

今回のつぶやき
F3Dで和風企画展のアナウンスがありました。面白そうな企画ですし、しかもフリービーが貰えるということもあって、参加することを考えています。恐らく64bitPCを用いたVueでの初作品になるかと思います。今回の検討で夜の水面を綺麗に描き出す方法も見つかったので、やはり「あれ」かなとなどと考えています。