01.24
Sunday
2010

HONEYさんのBlogで夜を明るく製作する方法が紹介されていました。要約すると大気設定の天空密度を低くするというものです。天空密度を低くするので、大気はスペクトラル大気だと思うのですが、明るい夜の風景を製作したいのであれば、個人的には標準大気(もしくはボリュメトリック大気)をお勧めしたいと思います。

日中の風景や夕暮れの風景では、あまり標準大気は使用されないかと思うのですが、夜の風景の製作には向いていて、フリーで配布されている夜の大気でも標準大気を使用しているものをよく見かけます。理由は以下の2点が考えられます。(1)スペクトラル大気では使用できない、光源色が指定できる。(2)関数や画像が指定できる平面レイヤー雲の効果が大きい。まずは(2)から検証してみます。

標準大気(スペクトラル大気)を呼び込みます。「まばらな星空」の関数を使用し、平面レイヤー雲を設定します。この大気モデルを標準、ボリュメトリック、スペクトラルに変更すると、以下のような画像が得られます。


「雲」の質感設定、カラーマップは黒と白(自作です)


「大気設定:雲の設定」


「スペクトラル大気」


「ボリュメトリック大気」


「標準大気」

このように地面付近にあるものが明るいままで、平面レイヤー雲を用いて天空に星空を描くことができるのは標準大気とボリュメトリックです。平面レイヤー雲は関数だけでなく、画像を使用することもできるので、星空の写真や自作した星空を用いることも可能です。

このままでは流石に違和感があるので、もう少し設定をいじってみます。まず、大気設定の天空のカラーマップを大理石とし、地表面近くの白のキーカラーを削除し、霧の影響を0%に変更します。また、霧ともやの影響をすべて0にすると、以下のような画像が得られます。



地面の明るさとオブジェクトの明るさを変更するには、いくつか方法があります。光源バランスの値を大きくすると、明るくはなるのですが、強い光が当たっているような感じとなります。全体的に明るくしたいのであれば、大気設定:光源:露出の数値を大きくしてみて下さい。全体的に暗くしたいのであれば、光源色の明度の値を下げてやるのも一つの方法です。これらをいじってカスタマイズして、以下のような夜空を製作してみました。雲の色は光源タブの「太陽光色を自動退色」の影響をうけるので、これを青白い色に変更しています。




「大気設定:光源」

上記の太陽の位置は順光なのですが、以前紹介したように見える位置に月を登場させたい場合には、逆光となってやはりオブジェクトが黒くつぶれてしまいます。こんな場合には、照明モデルをグローバルラジオシティに設定してみて下さい。オブジェクトの表面色によるのですが、結構明るくなります。もし、全体の明るさが十分でないときには、ゲインの値を大きくする、個別のオブジェクトや質感への影響であれば、質感の発光体に少しだけ値を設定するのも一つの方法です。


照明モデル:グローバルアンビエンス


照明モデル:グローバルラジオシティ

大気設定を細かく説明してきたのですが、大気モデルによらず、闇夜のカラスを見つけ出す簡単な方法を最後に紹介します。ポストレンダリング設定(カメラの高度な設定)で露出の値を高くして下さい。コントラストの強いものでなければ画面を簡単に明るくすることが可能です。昨日新作紹介した作品「オーロラとユニコーン」も、全体をアンダーでまとめた後、露出をかなり高くしています。なお、ポストレンダリング設定(カメラの高度な設定)の後処理ゲインの値をマイナスにするとコントラストの弱い画像を得ることが出来ます。

今回のつぶやき
標準大気を薦めておいて何なのですが、リアリティが欲しいこともあって、私はスペクトラル大気をよく選択します。また、大気設定が複雑なだけに面白いことができたりすることも魅力だと思います。例えば、以下は月の雫と名づけたスペクトラル大気です。いつかこれを生かせる作品が製作できたらなと考えています。



01.23
Saturday
2010

以前から製作してみたいと考えていたオーロラを製作してみました。ある程度、それらしく見える大気設定は以前からできていたのですが、今ひとつだなと思ったこともあって、それを使った作品をつくるには至っていませんでした。実はshadeカップの作品として、pixivに出展することを考えていたのですが、時間が足りなくて出展は結局あきらめました。その後、時間をかけて製作することにしたのですが、オーロラの下に何を配置するかで、散々迷いました。最終的には、以下の作品のようにユニコーンを配置することにしました。大気設定と水の飛沫が作品制作のポイントなのですが、これらについては別途、製作日誌で詳細を記載したいと思います。


「オーロラとユニコーン」(クリックすると大きな画像が表示されます)

最初は、以前製作した作品をヒントにクリスタルの中に妖精が閉じ込められたものを配置していました。HONEYさんがTipsで紹介されているのですが、ガラス質や液体が重なると、重複部分に減衰色の効果が出てきます。これを使ってオーロラの色と一致させ、オーロラの光を浴びているような感じを表現してみました。個人的には、こちらのほうが好きだったのですが、主張が強すぎて、背景と喧嘩してしまうように思えたので、採用は見送りました。

作品によっては、今回のように検討段階で没作品が出来てしまいます。コンテストに投稿した作品も選外のものは、紹介することを忘れてしまうので、そんな作品を集めて一度Blogで紹介しようかなと考えています。


(作品の一部)

この作品を制作していて気がついたのですが、レンダリングした画像をVueから直接JPEGで書き出すと、画像圧縮による劣化が目立つことが判りました。特にが私 は、通常VueからBMPで書き出して、画像編集ソフトでJPEGに変換しています。そのほうが圧縮率が高くても、綺麗な画像が得られます。

今回のつぶやき
F3Dのお題でレンダのテーマが「白」だったこともあって、今回製作した作品を投稿しました。F3Dでは3月1日から毎年恒例の和風展が開催されます。毎年、ぎりぎりになってから作品制作に着手することになるので、今年こそは早めに製作に着手したいなと考えています。


01.12
Tuesday
2010

Blogの中でも何度か記載したことがあるのですが、シーンの単純化という話題をとりあげてみたいと思います。シーンを製作する場合には複数のオブジェクトを配置し、設定をおこなうのですが、検討を重ねる毎にシーンは複雑化していきます。思い描いているシーンを初めて製作する場合に効果の表現方法を確認してみたり、思い通りにならない時にその原因を確認するのには、シーンを単純化してみるのが有効な方法です。今回は「水中でアルファ平面の透過部分がうまく透過されない」というメールを頂いたので、その現象を取り上げたいと思います。今回メールを頂いていろいろ考えたのですが、説明は画像付きのほうが判りやすいと思いましたので、Blog記事への返信を除いて、Vueに関する操作について質問があれば、Forum3Dへの投稿をお願いしたいと思います。個人的に判る範囲と時間の許す範囲でお答えしたいと思います。

今回、アルファ平面は「XfrogPlants : Billboars」のPoser用のデータをVueに取り込んだものを使用しました。大気設定デフォルトでこれを読み込んでレンダリングすると、以下のようなレンダリング画像となります。なお、質感はできるだけ立体が得られるよう、バンプマップを設定し、バックライトの効果を適用などの変更を行っています。


(ビルボードの設定)


(レンダリング画像)

一度に複数の操作をしてしまうと、原因が判らなくなるので、一つずつ要素を追加していきます。まず、水中のシーンでは光が射す様子を表現するのにボリュメトリック光源が使用されます。このため、まずボリュメトリック光源(スポットライト)で上記アルファ平面を照らしてみます(図1)。


(図1:ボリュメトリックライト)

今回はボリュメトリックライトとして、ライトジェル(コークティクス)を適用したスポットライトを使用しました。ボリュメトリックライトは質量のあるライトでオブジェクトがその軌道にあると光が遮られて、光の筋ができます。アルファ平面は平面に画像を貼り付けたものですので、アルファ平面とボリュメトリック光源の組み合わせはお勧めではありません。試しに、ライトの位置を前後左右などに変えてみたのですが、透過部分に異常は見つかりませんでした。


(図2)

さらに、水面(無限平面)を呼びだして、カメラが水面下となるように水面の高さを調節してみます(図2)。この場合には透過部分が明らかに目立つようになりました。このことで、水面にアルファ平面を配置したことが原因だろうというのが推測ができます。ちなみに、水面下でボリュメトリックライトを消去しても、これを消すことはできませんでした。屈折率が影響しているのではないかなと考えて、アルファ平面の屈折率を水の屈折率1.33にしてみたり、逆に水面の屈折率を1に変更してみたのですが、これを消すことはできませんでした。立方体では関数エディタでアルファが使用できるので、厚みを薄くしてアルファを適用してみたのですが、この方法でもだめでした。

解決方法なのですが、水面下でなければ特に問題はなかったので、先日の記事で紹介したように擬似的に水中を表現してみることにしました。空を覆うように立方体を拡大し「荒れた海」の質感を適用した立方体を拡大し、この立方体より上にボリュメトリックライトを配置します。大気はデフォルトなのですが、奥のほうが霞むような効果が得たければ、大気設定の天空、霧ともやのタブにおいて、霧の密度と高度の数値を変更してみてください。このようにすれば、アルファ平面でも透過部分が判らなくなります。


(図3)

今回のつぶやき
コークティクスが地面に落ちると綺麗だなと思ったこともあって、「Walking in the water ~水中散歩~」の手直しをすることにしました。霧の密度を20%まで下げて水の透明度を上げ、地面や建物の床面をコークティクスのライトジェルを適用したスポットライトで照らし出すことにしました。ボリュメトリックだと明るすぎるため、今回は通常のスポットライトを使用しています。個人的は結構よくなったかなと考えています。建物の枠が多すぎてガラスの外の景色が細かく区切られてしまったのが残念なのですが、こういうモデルなので、仕方ないかなと考えています。本格的な水族館の風景を作ろうとするのであれば、自分でモデリングを覚えなければいけませんね。


「Walking in the water ~水中散歩~」(改定版)
(クリックすると大きな画像が表示されます)

なお、「電脳箱庭」ではるさんがアルファ平面にわずかに線が残るという現象とその解決方法を紹介されていました。解決方法は画像の大きさをわずかに拡大するというものです。詳細はこちらの記事で確認してください(アルファ関連の記事がすべて表示されます)。