03.21
Sunday
2010

先週PostworkShop Basic Editionの記事を記載してから、作品をいくつか制作してみたので使用感を記載したいと思います。レンダロにもレビューが記載されているので、そちらも参考にしてください。使用してみた感想は、以下のとおりです。

(1)フィルターの数が多く、フィルターがサムネイルで表示されている。
 ソフトは英語なのですが、サムネイルでどのような感じに処理されるかが一目で判ります。
(2)レイヤーを統合しない限り、レイヤーに適用した処理がすべて保持される。
 複数のフィルターを適用した後(例えば、輪郭抽出してぼかしをかけるなど)でも、先に適用したフィルター(例えば、輪郭抽出)のパラメータが自由に変更できます。
(3)適用したフィルターがレイヤーに自動的に記録される。
 プロジェクトを保存しておけば同じような処理をしたいときの参考になります。
(4)フィルターがドラッグ&ドロップでオリジナル画像に適用されるので操作性がよい
 もちろん、レイヤーに複数のフィルターを適用することも可能です。
(5)レイヤーをコピーすると、片方に適用した新たなフィルターの効果がもう片方のレイヤーにも自動的に適用される。


原画(羽の一部をレタッチで修正してからポストワークに使用しました)


PostworkShopでレタッチした作品

サンプルとして手書き風にレタッチしてみました(クリックすると大きな画像が表示されます)。輪郭抽出のために羽の部分に一部手を加えてからポストワークしています。ポストワークについては、記載が難しいこともあってほとんど紹介していないのですが、このソフトを使うと説明が容易なので、参考までにどのような処理を施したかを記載しておきます。

(1)オリジナルの画像を読み込む(File>Load Image)
(2)Sketchのフィルターを適用する。
(2-1)フィルターの場所
基本的なフィルターはBilding Blocksに格納されています。Bilding Blocks>Simple Styles>Sketchのフィルターをドラッグ&ドロップで適用します。
(2-2)フィルターの適用方法
フィルターをDefault Layerにもってくると、レイヤーが4分割されます。すべてが黄色くなったところで手を離すと、Default Layerにフィルターが適用されます。上はレイヤーの前、下はレイヤーの後にフィルターが適用されたレイヤーが作成されます。右は適用したフィルターの処理に新たなフィルターの効果が追加されます。
(3)線の太さを調節する
Properties+Previewにタグを切り替えて、フィルターのパラメータを調整します。
(4)同様の操作を繰り返し、上から順に以下のようなレイヤーを作成する。
・Glow
・Map to Palette
・Dot Based Halftone
・Sketch
GlowはPhoto、その他はBilding Blocks>Simple Stylesにフィルターが格納されています。
(5)各レイヤーの役割とブレンド方法の選択
(5-1)Sketch:Normal(Opacity 100%)
輪郭抽出のためのレイヤーです。一番上にもってきたほうが輪郭ははっきりするのですが、通常手書きの場合は輪郭を一番下にしてから色を重ねていくだろうと思うので、私は一番下におくことが多いです。はっきりした輪郭が欲しいときは上のほうにも同じようなレイヤーを設定します。
(5-2)Dot Based Halftone:Multiply(Opacity 50%) 
色を塗る箇所と濃さを指定するためのレイヤーです。このレイヤーに色がついていると色がどぎつくなるので、グレイベースもしくは単色とするのがお勧めです。ブレンドはMultiply、Darkenが候補になります。
(5-3)Map to Palette:Overlay(Opacity 50%)
色を指定するためのレイヤーです。手書きの場合には色数に限界があるのでこのような処理をしています。Multiply、Overlayが一般的ですが、Soft light、Hard lightなんかもよく使用されます。ブレンド方法をかえるだけでもかなり雰囲気が変わります。
(5-4)Glow:Screen(Opacity 75%)
全体の明るさなどや感じを整えるためのレイヤーです。Screen、Overlay、Multiplyをよく使用するのですがSoft light、Hard lightなんかもよく使用されます。
(6)画像の書き出し
Renderした後、File>Save Imageで画像を書き出します。細かく描かれた作品などでは、Renderすると雰囲気が変わってしまうことがあります。完全ではありませんが、Option > Reference > Canvas SetupにおいてPreview Scaleを1:1にすることでこれが低減されるようです。

実際に製作するときには、同じ機能をもつレイヤーを複数設定したり、一枚のレイヤーが二つの機能を兼ねていたりするのですが、私は上記を基本に考えてレタッチを行います。レイヤーの役割は同じなのですが、適用したフィルターやブレンド方法の工夫次第で上記のサンプルとは雰囲気の異なる作品を製作することもできたりします。Poserをベースに作品づくりをするのであれば、持っていて損はないソフトだろうなと感じました。このソフトで製作した作品を最後においておきます。





今日のつぶやき
3D作品を制作している私が言うのも何なのですが、個人的には手書きのほうが温かみがあって好きだったりします。そんなこともあって、以前開催されたルカ展ではレタッチソフトでポストワークを行って、パステル風に仕上げた作品を製作しました(上記の作品はそのリメイクです)。当時はPhotoshopELでフィルターを適用し、GIMPで輪郭抽出、全体の仕上げを当時使い慣れていたPhoto Shop Proで行いました。けれど、それ以降一度も実施していないのは、あまりにも大変でめげてしまったからだったりします(^^;。当時のファイルは残っているのですが、開いてみても何をしたのかが判らなくなってしまったことも理由の一つです。このソフトを活用すれば、同じような作品がずっと簡単に製作できるだろうなと考えています。上位版が欲しいのですが、とりあえず引越しが終わって落ち着いてからゆっくりと考えたいと思います。

さて、引越しの準備しなければ……。


03.14
Sunday
2010

Forum3Dに投稿したのですが、そちらの記事をみていない人も多いと思うので、こちらにも記載しておきます。PostworkShop Basic Editionがフリーで入手できます。
http://postworkshop.net/

入手方法
(1)上記のTOPページからBuy Now>Basic Editon(クーポンコードを控える)>Buyをおすとショッピングカートの画面が表示されます。
(2)必要事項を入力し、クーポンコードを入 力してください。Select Your CurrencyがJapanese Yenだと0円にならないのでこれをUS Dollarsに変更し、差し引き金額がSub Totalと同じ金額であることを確認してからcheck outしてください。
(3)ソフト本体は以下のダウンロード ページからダウンロードしてください。
http://postworkshop.net/download
(4)check outした後でINVOICEが表示されますので、記載されたSerial Numberを入力すればBasic Editionとして機能します。

簡単なPostworkをしてみたのですが、レイヤー機能で処理した画像がブレンドできるので、使いこなせばこれまでとは違った雰囲気の作品ができ るかもしれないなと思いました。Basic Editonは画像サイズが800ドット、$49のバージョンだと2000ドットまでの画像を書き出すことができます。





ちなみにレンダロでPostworkShop Portrait Contestが開催されています。
http://www.renderosity.com/mod/contest/index.php?contest_id=1069

今日のつぶやき
先日、京都で「アール・ヌーヴォーのポスター芸術展」を見てきました。この時代のポスターはデザイン的にも興味を惹くものが多いですね。ミュシャのポスターも展示されていたのですが、「ジスモンタ」や「椿姫」のポスターは2m以上の大きさということもあって、流石に別格だなという感じを受けました。

ミュシャの作品ではないのですが、着物の女性を描いたポスターもありました。今年の和風展に投稿することは出来なかったのですが、着物の女性をポスター風に仕上げるのも面白いかもしれないと思いました。いろいろなところにネタは転がっているものですね。

この頃バタバタしていたこともあって、この週末はゆっくり休みたいなと考えています。来週の3連休は、入居のための手続きのために帰省する予定です。


03.08
Monday
2010

3作品の作品紹介です。オーロラの製作日誌を記載した後に、製作順に作品紹介を記載することを考えていたのですが、期限が迫っているのとオーロラの製作日誌の記載に時間がかかりそうなので、先に新作紹介を記載したいと思います。

(1)クリスタルインクルージョン

(クリックすると大きな画像が表示されます)

1月末には完成していたのですが、先に記載した事情もあって、Blogに掲載するのが遅くなってしまいました。前作「オーロラとユニコーン」同様、オーロラを題材とした作品です。題名は「クリス タルインクルージョン」としました。以前、同じ題名で製作した作品があるのですが、クリスタルの中に閉じ込められている感じがしないと言われたこともあって、いつか 製作しなおしたいと考えていました。

クリスタルは透明なのですが、透明な部分が重なるとVueでは質感の透明度にある減衰色が現れてきま す。それを利用して、オーロラの光で緑に輝いているような感じとしてみました。ちなみに、インクルージョンとは水晶などが結晶する際に、入り込む内包物の ことを指します。座りが悪くて一度没としたのですが、オブジェクトを見直して作品として仕上げました。この題名で作品を再度仕上げる時には、クリスタルの 中を覗き込む少年、もしくは少年風の妖精を配置したいと考えていたのですが、今回は見送りました。その名残が画面端の蝶だったりします。また、何かの機会 にでも没とした案で作品を製作してみたいなと考えています。

(2)月光虹〜月読命〜

(クリックすると大きな画像が表示されます)

和風展に出展するために製作した作品です。いつも製作が時間ぎりぎりになってしまうので、2月初旬から製作に着手しました。日本神話に登場する三柱の貴子を成す月読命をイメージして製作した作品です。月読命は月を神格化した夜を統べる神とのことなので、月の光で生まれでる月光虹を象徴的に配置してみました。月光虹はSannziさんが配布されている「動く虹」を使用させて貰いました。Vueでは虹の機能があるのですが、オブジェクトの前に配置することができません。虹をどうしようか考えている途中だったので、とても有難かったです。

Blogにも記載したのですが、夜滝の製作(質感設定)に苦労しました。ネットで画像をいくつか検索してみたのですが、夜滝ってボーッと光るんですよね。しかも、透明感があって、水の流れが判るように設定しようとすると、通常では有り得ないような質感設定が必要となります。効果の「拡散反射」と「環境光」の設定をいろいろと検討し、複数の質感を持つ地形で夜滝を完成させました。

夜滝にはハイパーテクスチャを使用しているのですが、この質感を持つオブジェクトが多くなるとファイルに異常が起こりやすくなるようです。経験則なのですが、2つまでなら問題は起こっていません。4つ以上使用した2作品ではハイパーテクスチャの質感を持つオブジェクトが表示されなくなり、レンダリング速度が極端に遅くなるという現象が起きました。再現性があるかどうかは判らないのですが、ハイパーテクスチャをよく使用する方は注意したほうがよいかもしれません。

(3)グリーンレクイエム

(クリックすると大きな画像が表示されます)

Artist Sideのコンテストに出展するために、「緑」のテーマに併せて製作しました。「緑」から「自然」をイメージしました。蛍が綺麗な「緑」に発光することを思い出したこともあり、豊かな自然の美しさを表現できればいいなと思って、蛍の舞う森を作成してみました。女性は森の精霊ドライアドをイメージしています。表情が少し寂しげなのですが失われていく自然を間接的に表現できればといいなと考えています。


(生レンダ画像:クリックすると大きな画像が表示されます)


(単色効果で処理した画像:クリックすると大きな画像が表示されます)

上の画像がVueからの生レンダ画像です。完成したときはこれで十分だと考えていたのですが、試しにレタッチを検討してみました。2枚目が単色効果で緑色のみとした画像です。この画像に以前紹介したZ値の被写界深度の効果を付加して、レイヤーブレンド機能をつかって、緑の光源で照らし出されているような効果を付加してみました。完成してみると、十分だと考えていた生レンダ画像が色あせてみえました。自分が満足していてても、改善の余地というのはあるのだなということを教えてくれた作品です。受賞作品は今週には決定するそうです。

今日のつぶやき
和風展は作品投稿が10日までです。今年は2作品を投稿してみたいと思っていたのですが、諸事情で製作時間がとれなくなってしまいました。実は転勤が決まりました。土地勘があるところへの転勤なので、気分はまだ楽なのですが、暫くはバタバタしそうです。この土日も新居探しに出歩いていました。作品制作は落ち着くまでお休みしようと考えています。Blogの更新なども滞りがちになるかもしれませんが、よろしくお願いします。