07.20
Tuesday
2010

今回は、オーロラの製作を記載したいと思います。「オーロラとユニコーン」「クリス タルインクルージョン」でほぼ同じ設定なので、多少改良を加えた「クリスタルインクルージョン」の設定を中心に記載したいと思います。


「クリスタルインクルージョン」(クリックすると大きな画像が表示されます)

(1)最初に
ポイントを以下に記載しておきますが、いくつかのパラメータにおいては、値を少し変更しただけで雰囲気が大きく変わってしまう可能性があります。前作の「オーロラとユニコーン」において、オーロラに手をいれようとしたのですが、上手くいかずに結局は諦めてしまいました(^^;。こうすればできるだろうと思って設定した部分は確かにあるのですが、偶然設定した値や関数がよかった、もしくは試してみて偶然よい方法が見つかったいう部分がかなりあります。偶然の産物だと思ってお付き合い頂けるとありがたいと思います。

(2)大気設定(光源と天空の設定)
基本的には以下のように、夜の大気設定を行います。見てもらえばわかるのですが、地面近くの色は天空の減衰色で設定しています。天空近くの色が緑ではない のですが、実は雲を使って天空を緑に染めています。詳細は後に記載する雲の設定で説明します。


「大気設定:光源」


「大気設定:天空、霧ともや」

また、太陽光の明るさを150程度に設定します。オーロラは雲を使って製作するのですが、雲を設定せずにレンダリングした場合、以下のような画像が得られます。真っ暗ですね。実は大気設定+太陽光はかなり暗く設定し、高度なカメラ設定で露出を上げています。オーロラを形成しているボリュメトリック雲は、通常の設定では光るように設定することができないのが理由です。どのような設定を行っているかは高度なカメラ設定を参照して下さい。


「レンダリング画像」

(2)大気設定(雲:オーロラ)
詳細は以下を参照してください。高度変化の値を極端に大きくすることが、形状のポイントです。密度、不透明度を極端に小さくして、雲が透けるよう設定を行います。雲はボリュメトリック雲(V2.0)を使用しました。雲の関数もZの値を極端に大きくして縦に長い形状としています。関数はいろいろなものを読み込んで、オーロラの形状に近いものを選択し、カスタマイズしました。
最終的に選択したオリジナルの関数は「Varian's Dreamview !」というサイトから入手したFunctionPack2のSmearを使用しました。なお、この関数はVue4以前の関数であるため、Vue Applicationディスクに同梱されたOld Scene Converter(Toolsに保存)で変換する必要があります。ちなみに、このサイトでは関数だけではなく、カラーマップ等の基本ツールも数多く入手できますので、個人的にはお勧めのサイトです。


「大気設定:雲:オーロラ」


「オーロラの関数」

(3)大気設定(雲:星空)
このノーマル雲は空を緑色に染めるのに使用しています。オーロラの雲を消去してノーマル雲だけとしてレンダリングすると、以下のように空にグラデーションを描くことができます。ただし、色は加算されていくので大気設定で設定された空よりノーマル雲のほうを明るくする必要があります。星空なので、白く星が輝いてくれないかなと思ったのですが、残念ながら、この方法では星を空に描くことはできませんでした。このため、エリア光源を空に散らして、星空を演出することにしました。その他の詳細は以下の設定を参考にして下さい。


「大気設定:雲:星空」


「星空の関数」


「星空だけの雲を設定し、レンダリングした画像」

(4)高度なカメラ設定
通常の方法では空のオーロラを明るくすることはできないので、全体を暗くして高度なカメラ設定で露出をあげるという方法でオーロラが明るくなるようにしています。今回は自動露出を使用したのですが、これを使用しない場合は同程度の明るさを得るのに、露出を1.0程度まで上げる必要があります。実際のところ、オーロラはさほど明るいものではなく、かなり暗くないと見えないようです。


「高度なカメラ設定」

今日のつぶやき
恒例のVue 3D Environment Competition 2010、作品の募集が締め切られました。数日後にはファイナリストの発表があるようです。私も作品の製作を始めていたのですが、モチベーションがあがらずに、製作途中で挫折してしまいました。モチベーションが挙がらなかった理由はいろいろとあるのですが、Vue8 complete でcornucopia3Dで購入したアイテム(オブジェクトと植生)がほとんど読み込めない、しかもサポートからも回答がないということも理由の一つだったりします。

最近、仕事で設計思想について学ぶ機会を得ました。設計思想が異なれば、品物の姿は大きく異なります。また、設計思想は強化されていく方向に働き、それを読み解くことで、将来がある程度予測できるそうです。例えば、安全を第一に考えられた車では、コストは高くなるかもしれませんが、リコールを起こすような事態は自ずと少なくなります。しかし、コストを第一に考えられた車では、その逆のことが起こるというものです。

そんなこともあって、Vueの設計思想を考えてみました。高いPC性能を前提とした機能追加が最近目立つように感じるのですが、Vue6まではホビーユーザーが対象、Vue7以降はプロを対象にした設計変更が原因ではないかなと感じました。また、Vueでは以前からアイテムのロックがあったのですが、これが強化されたことが今回の原因かもしれません。これらの設計思想が強化されていくと、Vueの未来はあまり明るくないなと思ってしまいました。

それだけではないのですが、Vue以外のソフトが気にかかっています。参加はできなかったのですが、Vue 3D Environment Competition 2010が終了したこともあって、その他のソフトもいろいろと試してみたいなと考えています。