09.27
Monday
2010

Vueに最初に触れる方が比較的簡単に製作できるシーンを以前紹介したのですが、今でもこの記事のアクセスが比較的多いことが判りました。この記事はVue6が対象だったのですが、Vue7からメタウォーターが導入されましたので、これを使用した改定版を記載しておきたいと思います。記事ではVue8 completeを使用しました。バージョンによっては、必ずしも同じ操作、画面にならないことがあるかと思います。最近はバージョンが増え、確実なことは言えないのですが、Vue7もしくはVue8 Esprit以上であれば、同じように操作することが可能だろうと思います。

操作の詳細についてはVueの マニュアルを参考にしてもらえばと思います。Vueでは質感や大気が設定されたファイルが標準で用意されているので、今回はそれを使用します。Vueでは 最初に詳細質感エディタの設定で基本的な質感の変更操作を覚えることをお勧めします。どのようなシーンを製作したいかによりますが、大気の設定は比較的後 でもよいのではないかと思います。なお、Vueの使い方とは直接関係ないのですが、ライティングや構図などの勉強もしておいたほうがよいだろうと思います。


「完成したレンダリング画像」

(1)最初に
何気ない風景でもよいのですが、印象的なシーンのほうが製作していて楽しいのではないかと思います。Vueでは綺麗な朝焼け、夕暮れの大気が多数用意されていますので、今回はこれを使ってシーンを製作します。

(2)製作方法
1.カメラの位置修正
カメラは初期設定では斜め45度を向いているのですが、正面をむいていたほうが、オブジェクトの配置などが感覚的に判りやすいだろうと思います。位置はオブジェクトプロパティ属性パネル(右のパネルの一番上、二つ目のタブ:数値)で確認できます。正確な配置や大きさの調 整をしたい場合は、これを用いて数値設定するのがお勧めです。今回は位置(X,Y,Z)=(0mm、-10m、1.8m)、方向(ピッチ、ロール、ヨー)=(90、0、 180)を採用しました。もちろん、カメラを動かして位置を調節してもらっても構いません。

2.地形の配置その1
左端にある山のアイコンを押して標準地形を配置します。地形が選択されている状態で右アイコンを押すと、メニューが表示されるので、オブジェクトの編集を 選択します。地形エディタが開くので、山岳とかかれたアイコンを押します。押すたびに地形が変わるので、好みの地形を選択してOKを押します。これを画面 左側の適当な位置に配置し、大きさを調整します。今回は位置(X,Y,Z)=(-3.44m、4.3397m、-0.09mm)、サイズ(X,Y,Z)=(17.332m、17.332m、 2.0765m)を採用しました。

水面は標準で1mの高さとなります。水面から岩が覗いているような感じとするため、高さは2m程度の高さとして下さい。大きさは自由なのですが、XとYの値を小さくすると尖った感じの岩となり、大きくすると平たい感じの岩となります。

3.地形の配置その2
その1と同様の方法で地形を呼び出し、右側の適当な位置に配置して大きさを調整します。若しくは、地形その1をコピーして、地形を編集しても構いません。 今回は位置(X,Y,Z)=(4.2103m、-7.585m、-0.09mm)、サイズ(X,Y,Z)=(17.332m、17.332m、 2.0765m)を採用しました。


(上面表示)

4.水面の配置
左端の一番上、水面を押して水面を配置します。海面を選択し、右クリックでオブジェクトの編集を選択して水面設定を呼び出します(ツールバーもしくはCtrl+Eでも可能)。グローバルな波のコントロールを使用のチェックボックスにチェックが入っていることを確認し、全体のうねりの値を70%に変更します。

水面は初期設定でメタウォーターが設定されています。初期設定の大気では判りにくいのですが、海面から突き出した地形の周辺が白く濁っています。これがメタウォーターの効果によるものです。メタウォーターを使用すると水面との距離を計算し、水面と近い場所に泡を発生させて、海面を白く濁らせることができます。

5.船の配置
左端のアイコン、オブジェクトの読み込み>乗り物>船を選択して、帆船を呼び出します。オブジェクトはExtras CDに格納されていますので、CDを入れるようメッセージが表示された場合は、画面の指示に従ってExtras CDを入れてください。Extras CDがない場合は、一番最後の参考情報などからフリーアイテム等で船を入手して下さい。

呼び出した帆船を沖のほうに配置します。水面に触れていない状態でオブジェクトの落下を押すと、水面に触れた所でオブジェクトが 停止します。船の底は水面に沈んでいるので、この位置からさらにすこしだけ下げてやります。今回は位置(X,Y,Z)=(44.289m、 138.37m、5.0962m)、サイズは呼び出したままで変更していません。


(メインカメラの画像)

6.大気の設定
大気>大気の読み込み>芸術的>日没>Spectral Sunsets>クラシック・サンセットを選択します。

7.質感の変更
ワールドブラウザーで新規レイヤーを呼び出し、地形1、地形2、地面をこのレイヤーにまとめます。レイヤーを選択した後、オブジェクトプロパティ属性パネルにおいて、質感の読み込みを選択すると、質感の選択画面が現れます。岩石>苔の生えた岩2を選択してOKを押します。


(メインカメラの画像)

8.修正作業
夕方の空を強調したかったので、カメラの位置を少し上に向けることにしました。ちなみに、採用したのはカメラのピッチが86度です。自分の興味が海と空ど ちらにかということが判らないことが原因ではないかと思うのですが、水面と空の比率が同じであり、水平性が画面を二分している構図はあまり採用されないよ うです。

次に、一部が船にかかるように太陽を平行に移動させます。太陽光が選択されていることを確認し、オブジェクトプロパティ属性パネル(右のパネルの一番上、一つ目のタブ:概観)の一番上にあるレンズフレアを有効にして完成です。


(完成した画像)

(3)コメント
操作になれている方なら10分程度、操作が判らない人でも1時間あれば製作できるのではないかと思います。今回は大まかな流れを詳細に記載してみました。参考にしてもらえばと思います。

今回はVueに付属している大気を使用したのですが、大気はフリーで入手できますし、購入することも可能です。レンダロなどではハロウィーンやクリスマスのグリーティングアイテムとして配布されることもあります。大気を変更すると雰囲気も大きく変わりますし、自分で大気を設定するときの参考にもなりますので、最初はいろいろな方が作成された大気を入手することをお勧めします。


「Angelicさん作:レンダロでフリーで入手できます。
 Renderosity>Free Stuff>Vue>Atmospheres」


「自作した大気」

(4)参考情報
Vueは景観ソフトなのですが、例えば森の景観を製作する場合、completeを所持していたとしても、付属の植生だけでは森の景観を作成するのは難しいだろうと思います。今回使用したオブジェクトは帆船だけなのですが、3D製作する場合には多くのオブジェクトが必要となります。参考までに、3Dアイテムの入手先を記載しておきます。ちなみに、いずれもユーザー登録が必要です。

cornucopia3D
Vue専用のアイテムの販売サイト。数は多くないのですが、フリーアイテムもダウンロードできます。Locked Licences(Vue以外のソフトへエクスポートできないアイテム)のほうが安価なのですが、トラブルが起きやすいので注意が必要です。Vueの新しい植生はこのサイトで販売されています。Plantsには、別途ベースとなる植生が必要な場合がありますので、購入時に説明をよく確認されることをお勧めします。

Renderosity
メガ販売サイト。Poser/Daz Studioアイテムが主なのですが、Vueアイテムも数多く販売されています。数多くのフリーアイテムもダウンロードできます。フリーアイテムの使用は商用禁止などの制限がついていることがありますので、利用規約を確認してください。

DAZ
メガ販売サイト。Poser/Daz Studioアイテムが主なのですが、最近はVueアイテムも見かけるようになりました。cornucopia3Dで販売されているアイテムも一部販売されるようになりました。

ShareCG
フリーアイテムのメガサイト。TOPページの3D modelsのカテゴリーには数多くのアイテムが登録されています。帆船をフリーで入手したい場合には、このサイトで検索することをお勧めします。


09.25
Saturday
2010

modo401を購入しました。以前から興味があって、302から401へのパージョンアップの時にも散々迷ったのですが、タイミングを逃してしまいました。割引セールが実施されていたCinema4Dも検討したのですが、欲しい機能と価格、バージョンアップ費用を考慮してmodoを選択しました。

最近はcollada形式を用いることで、以前よりはソフト間でのデータのやりとりがしやすくなっている(らしい)とのことなので、レンダリング関連の操作から覚えようとPoser8からcollada形式でデータをエクスポートして、modoでデータを取り込んでみました。ちなみに、Vueでレンダリングした画像を背景に使用しています。


テスト画像(クリックすると大きな画像が表示されます)

(1)modo:COLLADAフォーマットを入出力するプラグインのインストール
こちらのページを参考にプラグインをインストールしました。Windows7では、指定されたプラグインの保存場所がよく判らなかったのですが、プログラムがインストールされているフォルダ内のConfigsの中にファイルを入れて、インストールしたのですが、問題なくインストールできました。

(2)Poser8:collada形式でファイルをExport(ミレ猫)→modo401
最初から人体は大変そうだったので、ミレ猫を選択しました。Poser8からcollada形式(設定はデフォルト)でファイルをExportして、modoで読み込むと以下のようになりました。



目の部分が真っ白になっているため、Corneaに透明度100%を設定して修正しました。modoにはFurマテリアルの機能が付属しているのですが、 今回はバンプと反射フレネルの値を設定するだけとしました。よほど近づかない限り、これだけの設定でも、それなりに感じがでるように思いました。どのような感じになったのかは、テスト画像で確認してみてください。

私は結構マテリアルを修正することが多いのですが、Vueでは修正確認のために行うレンダリングで時間を要していました。modoはマテリアルに変更を加 えると、即時に修正した画像が表示されます。レンダリングが速く修正作業の確認がしやすいのが、modoを選択した理由のひとつだったりします。

(3)Poser8:collada形式でファイルをExport(The Courtyard)→modo401
背景におくオブジェクトは、The Courtyardを選択しました。これをミレ猫と同様にmodoで読み込んだのですが、形状が忠実に再現されません。Objでは設定したファイルを指定しなおす必要があり、Lwo、3ds、dxfではマテリアルがすべてはがれてしまいます。



修正方法が判らずPoser8からのエクスポートの設定などいろいろと検討したのですが、以下のようにmodoですべてのオブジェクトを選択し、位置と回転をリセットすることで正常に配置されることが判りました。複数の独立したアイテムをやりとりすると、このようなことが起こるのかもしれません。方法が判らなかったので、試してはいないのですが、Poserでグルーピングしてからエクスポートすればよかったのかもしれません。



(4)modo:オブジェクトの配置と背景の設定
オブジェクトを配置し、背景を設定しました。背景は画像を呼び出すだけで、簡単に設定できたのですが、以下の画像のように、オブジェクトと背景が混じったような感じとなってしまいました。修正方法が判らず、ほぼ半日設定をいじってみた結果、Renderの中のBase Shaderの有効のチェックを外すことでオブジェクトの背後に背景が表示されることがわかりました。レンダリングは一分程度で終了しました。





(5)感想など
外部レンダーを使用して画像製作をしている人も多いPoserなのですが、collada形式でのエクスポートが装備されたことで、ソフトの選択肢は広がっているように思います。VueやCarraraと比べると、データの再現は今ひとつだと思うのですが、高速レンダーや質感設定の自由度が高いことを考えれば、modoも選択肢の一つなのかもしれません。個人的には、ある程度3D製作に慣れていないと辛い部分があるかなと感じました。

今日のつぶやき
ハロウィーンが近いこともあってDAZレンダロでコンテストが始まりました。e-onではVueでの3Dキャラクターをテーマとした3D Character Rendering Challenge 2010が開催されています。興味のある方はどうぞ。私は今のところ作品応募の予定はありません。

コンテストといえば、3DCG AWARDS 2010の応募作品の審査が始まっています。私は作品を投稿していないのですが、応募作品に興味があったので、審査に参加させて貰いました。3DCGというとやはり動画ですね。個人的に凄いなと思ったのが、SUIRENスピンヘッドでした。今のところ動画に興味はないのですが、いつかこのような作品ができたらいいだろうなと思いました。


09.06
Monday
2010

久々のPoserネタです。今月発売されたSQジャンプの10月号に興味をひいた記事がありました。最後のほうに掲載されているマンガゼミナール(マンゼミ)というコーナーです。ミケランジェロのダビデ像を例に、足の重心を左右に移動させた時に人体がどのような動きとなるかを判りやすく解説したものでした。DAZで入手できるDavidのポーズにダビデ像を模したポーズがありますので、それを使って効果を試してみました。


クリックすると大きな画像が表示されます。

修正したポーズのほうが、オリジナルのものより安定感が感じられ、足にしっかりと体重がのっているように思います。修正した主な箇所は(1)重心の位置(2)ショルダー・トラックとヒップ・トラックを特に意識的に変更してみました。

人間の体は重心をどちらの足にどの程度かけるかで変化します。まず、足を肩幅に開いてたって、両足に50%ずつ力をかけてたちます。これから左足に90%、右足に10%の割合でかけるとどうなるかでしょうか?鏡の前で実際にやってみるとよくわかるのですが、片方の足に体重をかける程、体重のかかっていない足が外に開きます。また、重心線の移動に伴って頭の位置が体重のかかった足に近づくという変化が起こります。


解説に基づいて再現したポーズ:クリックすると大きな画像が表示されます。

また、重心のかかった腰骨があがり、かかっていないほうが下がるという現象が起こります。左右の腰骨を結ぶ線をヒップ・トラック、左右の鎖骨を結ぶ線をショルダー・トラックというのですが、ヒップ・トラックが傾いた分だけ、ショルダー・トラックも傾き八の字型になってバランスをとります。

以下の画像は左が腰の位置を移動させただけのもの、右がトラックを意識してポーズを修正したものです。右のほうがより重心が足にかかっている感じがよくでているように思いました。どれだけ傾くかは記載されていなかったので、Poserでいろいろ試してみたのですが、傾きが大きくなるとかなり違和感が出てきます。以下の画像の場合は腰部(Z:6°)腹部(Z:-7°)、胸(Z:-6°)、首(Z:7°)としてトラックを表現しました。足の開きはIKをoffにした後、Right Buttockの軸回転20°とした後、IKをonにしてzの値を調整し右足が前に出るように調整ました。


トラックを意識してポーズ:クリックすると大きな画像が表示されます。

正面から見ると判りにくい微妙な調整なのですが、体重を片足にかけたポーズについて、トラックの調整だけでは違和感があったので、IKをonにして腰の位置をわずかに低くし、膝を軽く曲げているように調整しました。また、(2)腹部を前に傾け、これとは逆に胸は後ろに傾けるという調整を行っています。これは足に体重をかけると軽く膝をまげたほうが体重がしっかりと足にのせることができ、それに伴って腹部から胸が緩やかなカーブを描くようになることに気がついたからです。最初のダビデ像のポーズ修正も同じ動きとなるよう修正を行っています。


クリックすると大きな画像が表示されます。

SQジャンプの10月号にはムーブマンが併せて紹介されていました。日本語に訳すると動勢となるのですが、絵などから動きを感じさせるような表現のことだそうです。生物に限定されるものではなく、心理的な方法や、人間の生理的機能を利用することで、静止した平面に動きが感じられること指すそうです。簡単な図形でムーブマンの効果を説明したページを見つけましたので、併せて紹介しておきます。ちなみに、「ボディビルダーのためのポージングガイダンス」には、今回記載したダビデ像を元にした身体理論が詳しく紹介されているそうです。ネットで検索してみたのですが、Amazonでも取り扱っておらず、出版元のサイトでしか入手はできないようです。一度中身をみてみたいなと思いました。

今日のつぶやき
この記事の欄外にも記載されていたのですが、対称形のポーズというのは躍動感を感じにくいそうです。ほぼ対称形のポーズで存在感を感じさせる興福寺の阿修羅像は高度な表現がなされているという件には思わず納得してしまいました。

最後になりましたが、スパムコメントが増えていますので、暫く承認したもののみコメント表示がなれるという設定に変更して様子をみることにしました。ご了承ください。暑さのせいだと思うのですが、インターネットに接続するモジュールがやられてしまいました。今は回復しているのですが、皆さんもご自愛ください。