10.06
Wednesday
2010

Vueには印象的な夕暮れが付属しています。夕暮れは印象的なシーンが作成できるのですが、逆光シーンのことが多く、オブジェクトを配置すると通常は真っ暗になってしまいます。オブジェクトを黒いシルエットとして描きだすのであれば、これでも問題ないのですが、影となった部分がきちんと描画されるようにするには工夫が必要です。

以前、「逆光シーンと環境光に関する考察」でも記載したのですが、逆光シーンや室内などの閉鎖環境の場合には、環境光を生かした設定が基本だと思います。しかし、Vueは環境光の処理があまり得意ではないなと以前から感じていました。影が弱くなり、画面が平坦になってしまうからです。Vueの大気設定の影響が弱くなり、自分でライティングすることになるので自由度は増すのですが、Vueからのサポートがなくなるため、それなりに慣れが必要になってきます。そんなこともあって、もう少し簡単に逆光シーンや閉鎖環境が処理できないかなと以前から考えていました。比較的簡単な解決方法がみつかりましたので、今回はこれを紹介したいと思います。

今回使用したVueのバージョンはVue7Infiniteですが、大気設定が可能であれば、他のバージョンにも適用できるだろうと思います。サンプルシーンは森の中のプリセットであるHowieFarkesさんが製作されたAutumn Pondを使用しました。このプリセットの大気をSpectral Sunsetsのナクル(Nakuru)という逆光シーンに変更すると、以下のように真っ黒になってしまいます。


Autumn Pond(設定変更なし画像)


大気をナクルに変更(真っ黒〜)


Nakuruの大気設定(光源)

大気エディタ>光源>グローバル照明調整の光源バランスを0(環境光100%)とすると、真っ黒な画像が多少緩和されるのですが、全体的に平坦な感じになってしまうのは 否めません。このまま露出を上げて明るくしたとしても、かなり違和感のある画像になってしまいます。


光源バランス0(環境光100%)

シーンの改善を行う前に質問です。影の色は何色でしょうか?この答えがわかると、シーンの改善をどうすればよいかが判ってくるだろうと思います。本来は影である部分の明るさを持ち上げて明るくするという操作をおこなうのですが、それだけではなく色のシフトを併せて行わなければなりません。ちなみに、ペイントソフトで影の部分を着色するときにも、本来の色を暗くするだけではなく併せて青色方向のシフトを行うそうです。

シーンの改善は以下のように行いました。なお、満足いく結果が得られたら、その時点で終了して構いません。また、すべての設定を試してみてから、どれを採用するかを決めるのも一つの方法だと思います。なお、レンダリングした後でポストレンダリング設定の露出で全体の明るさは微調整できます。
(1)無限光源の配置
・補助ライトとして無限光源を配置します。無限光源の方向は、開口部の方向と併せて下さい。今回は地面に向けて垂直としました。
・照明エディタ>影において、シャドウマップを使用にチェックを入れ、影の手法をシャドウマップーやわらかい輪郭に変更します。
・無限光源の色の選択の設定画面を開き、色相155、明度180、彩度150(青色)に変更します。
(2)無限光源明るさの変更
・大気エディタ>光源>グローバル照明調整の光源バランスを50%に変更します。
・照明モデルをグローバルアンビエンスを選択します。(2)の無限光源によって青くなっている部分を確認して違和感がないことを確認します。違和感がある場合は無限光源の彩度の値を下げるか、明度の値を大きくして下さい。次に、天空光強度の値で明るさを調整します。今回は0.3を採用しました。照明モデルを変更すると明るくなっていきますので、極端に明るくしなくても問題はありません。
(3)大気設定の変更(AOとGI)
環境閉塞(AO)では無限光源を(2)の設定のままとし、人工環境光1に変更します。GIでは、無限光源を(2)の設定のままとし、人工環境光0.5に変更します。AOをGIに近づけたい場合には、範囲の値を大きくします。GIは全体が明るくなって平坦になりやすいこともあって、調整がしやすいのはAOとなります。


GA


AO(人工環境光1、範囲は2m)


GI(人工環境光0.5)

(4)大気設定の変更(GR)
グローバルラディオシティ(GR)に変更し、ゲインを0.5とします。GRでは陰影が比較的はっきりでますので、他の照明モデルと比較してよい結果が得られることが多いと思います。


GR(露出+0.2)

AO~GRは環境光の値を大きくしたほうが効果がでやすいと説明書に記載されていたこともあって、環境光を割合を大きくして使用することが多かったのですが、この程度の光源バランスでも効果に違いがでるようです。照明モデルは自分の好みで選べばよいかと思うのですが、個人的にはGRの設定が一番観点でよりリアルだと思いました。GRは植生が明るくなりすぎて使い勝手があまりよくない印象があったのですが、この設定ではそのような感じは受けませんでした。

次に森のシーンだけではなく、オブジェクトでも試してみました。今回はDAZで販売されているTrinity Atriumを使用しました。手順は上記と同じなのですが、無限光源を少し傾けて光が明るくしたい場所に向けています。人物などを配置した場合にも、同様な操作を行います。広い場所には無限光源が適しているのですが、 今回使用したようなオブジェクトでは、無限光源の代わりに点光源をオブジェクトの上部に配置してもよいかもしれません。GA、AO、GIは無限光源の設定を色相151、明度178、彩度101としました。


GA(無限光源の明度180に変更)


AO(人工環境光1、範囲は2m)


GI(人工環境光1)

参考までにGA~GIの画像を示したのですが、オブジェクトではGRのほうが明らかにリアルな画像が得られます。ポストレンダリング設定を調整することで、昼間のような明るさとすることも可能です。環境光を用いたライティングのように見えるので、擬似環境光設定とでも呼ぼうかなと考えています。Vueの設定は奥が深いなと感じました。


GR(ゲイン0.3)


GR(ゲイン0.3)露出+0.5、ゲイン-9%、密度+9%

今日のつぶやき
DAZで白金会員を対象にしたセールが始まりました。投票で選ばれたアイテムが一日限定で1.88ドルになるのですが、DAZ Studio 3 Advancedが出ていたので、Dynamic Clothing Control Pluginと共に思わず購入してしまいました(^^;。

使ってみたいソフトが増えるばかりなのですが、オールインワンのソフトはないので書き出しや読み込みの性能を確認しています。Vueは読み込み性能は高いほうで、3dsファイルはバンプまで再現されました。しかし、書き出しは得意ではなくどのフォーマットでもテクスチャが完全に再現されないようです。modoは読み込み性能がよくないようです。Vueで問題なく読み込めた3dsファイルでもテクスチャがはがれてしまいました。今週末は3連休なので、またいろいろと試してみたいなと考えています。